「忙しすぎて本を読む時間がない」「1冊読み切るのに時間がかかる」「読んでも読んでも身につかない」――そんな悩みを抱えているビジネスパーソンは少なくありません。本を読めばいいことはわかっているのに、自主的に読めない人もいるでしょう。
何の本をどう読み、どう活かしていくか――働くうえで必携のビジネススキルを良書から抜き出したのが『ひと目でわかる! 見るだけ読書』。本書は、コスパやタイパを重視する現代的な読書スタイルを重視する人にとっても、魅力的な読み解き&活用法です。たった「紙1枚」を見るだけで本の最も大事なポイントが圧倒的なわかりやすさで理解でき、用意したワーク1枚を埋めるだけで即スキル化できる1冊。それも1万冊の読書体験と1万人を教えてきた社会人教育の経験から、絶対に読んでほしい24冊+αを紹介。ただ、エッセンスをまとめただけでなく、読後には、紹介した本が有機的につながっていく仕掛けがあなたのビジネススキルを飛躍的に向上させます。

40代必読! 会社で孤独を感じた時に読むべきベスト本は?Photo: Adobe Stock

「孤立の克服」のためにこそ、成長し続けなければならない

 今回選書した本は「そもそもなぜ、成長し続けなければならないのか?」という「Why」にフォーカスをあてて読んでほしいと考えています。さっそくですが、次の1行がこの問いについての答えです。

 成長し続けないと「人に迷惑をかけ、最後は孤独になってしまう」から。

『マインドセット』は、スタンフォード大学心理学部教授のキャロル・ドゥエックによる著作です。タイトル通り、「やればできる!」がその研究成果から導き出されたメッセージです。

 ただ、より精緻に言うと、「やればできると自分が信じられるものについては、才能より努力と捉え、頑張り、実際に何とかできる」といった意味合いなので、何から何まであらゆる仕事や趣味について「才能ではなく努力だ」と捉えているわけではありません。実際、このほうがより現実的で、精神的にもしんどくないのではないでしょうか。

 そうなると私たちは、「やればできる」と信じて成長できる分野と、そう捉えることができないケースの両方を抱えて生きていくことになります。

 このとき、「やればできる」と考えられる題材については「しなやかマインドセット」、一方、「やってもできない」と考えてしまうほうについては「硬直マインドセット」で考えるようになってしまうというのが、『マインドセット』におけるシンプルなフレームワークです。

 そこで、2つのマインドセットの特徴を図に整理してみました。こういった2項対立の題材についても、「1枚」フレームワークならカンタンに同じ枠組みでトレースすることができます。

40代必読! 会社で孤独を感じた時に読むべきベスト本は?

 まず、「硬直」「しなやか」という翻訳よりは、原書の表現から再出発して「Fixed=固定」「Growth=成長」としたほうが私は理解しやすいと感じたので、以降は「固定・硬直マインドセット」「成長・しなやかマインドセット」という表記で書いていきます。

「固定・硬直マインドセット」の本質をヒトコトでまとめれば、「現状維持」です。「努力しても意味がない」「時間のムダ」と感じてしまうため、向上心からではなく現状維持を目的とした振る舞いがデフォルトとなります。

「無尽蔵には頑張れない」という前提で捉えたときにむしろ重要になってくるのは、「成長か、固定か」の判断よりも、問題視すべき「固定・硬直マインドセット」とそうでないものの区別をどうつけていくかです。『マインドセット』はビル・ゲイツが推薦するくらい有名な本ですが、この観点を解説しているガイドはあまりありません。必読書としてすでに読んだことがあるという人も、ぜひ参考にしていってください。

 仕事に関して「固定・硬直マインドセット」になってしまった場合、どうなるか。「これ以上は売上が伸ばせない、利益も増やせない」「こんな面倒なことをやってまで働きたくない」「管理職はやりたくないので、もう成長はしません」等々。こんな調子で仕事をしていてはまずそうだということは、すぐにわかるはずです。では、問題視する必要のない「固定・硬直マインドセット」と、深刻な「固定・硬直マインドセット」の境界線は、いったいどこにあるのか。

 私なりの読み解きは、「誰かに迷惑がかかるか?」です。

 私自身が最大の学びだと感じている点は、「固定・硬直マインドセット」との向き合い方です。何もかも「成長・しなやかマインドセット」で捉えられるわけではない以上、問題視すべき「固定・硬直マインドセット」とそうでないものをどうやって見極めていけばよいのか。

 私の一番の問題意識はこの点にあり、その基準として読み取った本質が、「現状維持の結果として周囲を妬み、人や組織・社会に迷惑をかけないかどうか?」なのです。では、どうすれば怨望にとらわれないで済むのかと言えば、自身を高め、成長し続けること。すなわち、「成長・しなやかマインドセット」です。

 なぜ「成長・しなやかマインドセット」が重要なのかといえば、貴重なエネルギーを嫉妬で浪費することがなくなるから。

『マインドセット』を読むと、実は成長し続けなければならない理由として「他者に迷惑をかけないため」「人を傷つけないため」といった「自己完結を超えた視点」を得ることができる。このような観点が学べる本として、『マインドセット』をガイドしてみたいのです。

『ひと目でわかる! 見るだけ読書』は、パッと見るだけの圧倒的なわかりやすさで、名著の本質が分かる1枚シートに加え、著者の用意した1枚ワークを埋めるだけで、読み返しがいらなくなるほど、名著のエッセンスが一読で身につきます。ぜひ、活用してください。

(本原稿は書籍『ひと目でわかる! 見るだけ読書』の一部抜粋、再編集したものです)