「忙しすぎて本を読む時間がない」「1冊読み切るのに時間がかかる」「読んでも読んでも身につかない」――そんな悩みを抱えているビジネスパーソンは少なくありません。本を読めばいいことはわかっているのに、自主的に読めない人もいるでしょう。
何の本をどう読み、どう活かしていくか――働くうえで必携のビジネススキルを良書から抜き出したのが『ひと目でわかる! 見るだけ読書』。本書は、コスパやタイパを重視する現代的な読書スタイルを重視する人にとっても、魅力的な読み解き&活用法です。たった「紙1枚」を見るだけで本の最も大事なポイントが圧倒的なわかりやすさで理解でき、用意したワーク1枚を埋めるだけで即スキル化できる1冊。それも1万冊の読書体験と1万人を教えてきた社会人教育の経験から、絶対に読んでほしい24冊+αを紹介。ただ、エッセンスをまとめただけでなく、読後には、紹介した本が有機的につながっていく仕掛けがあなたのビジネススキルを飛躍的に向上させます。
今回は、担当編集によるレビューをお届けします。(書き手/編集部・武井康一郎)

成功者はどんな本を読んでいるのか?Photo: Adobe Stock

何の本を読むか?

 編集という仕事に携わって実感しているのは、売れている本を皆読みたいのかな、ということ。本の帯に「●万部突破!」とか「年間1位」とかあると、安心して買えるのかもしれない。

 今回、本書で登場する24冊+α。24冊すべてを読んでいる人がいたらすごいことだが、名著と言われるものが多い。多くの人に読み継がれている本ではあるが、今売れている本ではないものも。それでも、著者が強く推す理由がある。

 かつては、職場の先輩や上司が、「いっぱしの社会人としてこれからまともに働いていきたいなら、とりあえずこれくらいは読んどけ!」といって、良書を紹介してくれる時代もあったようですが……。今となっては、そのような人に恵まれるケース自体が少なくなってきています。だからこそ、本書がその代わりになればと願って執筆しました。(P.7)

 まず序章で紹介するのは、『アイデアのつくり方』『経営者の条件』『7つの習慣』『イノベーション・オブ・ライフ』『二宮翁夜話』だ。

 社会人として生き抜くためにも、ぜひ読んでほしい5冊。どうか順に読んでいってみてください。

 第1章では、『学問のすゝめ』『愛するということ』『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』『ユダヤ人大富豪の教えⅢ』『愛の論理』『アリストテレス 弁論術』『つきあい方の科学』の7冊が登場する。

「人間関係・コミュニケーション」の章だが、コミュニケーションを得意としていない人こそ、得られるものが多いはず。「金属疲労」ならぬ「人間疲労」は、誰しもが抱えている問題。そんな処方せんも名著が示してくれています。

 つづく第2章では、『道をひらく』『センス・オブ・ワンダー』『フロー体験入門』『超一流になるのは才能か努力か?』『マインドセット』『自分の小さな「箱」から脱出する方法』『一勝九敗』の7冊。「成長」の本質について触れている。

 体力や熱量の違いは人それぞれだが、ずっと高い水準でいられる人は少ない。私がドキッとしたのが、「『孤立の克服』のためにこそ、成長し続けなければならない(P190~)」という項目だ。「残酷だけど、真理だな」と妙に納得。

 本文中にある、この一文をどう読み解くか。

 成長し続けないと「人に迷惑をかけ、最後は孤独になってしまう」から。

 人生100年時代にどう生きていくか、ましてや生成AIなどの台頭でまずます厳しくなるであろうから、私的にもベスト3に入る読みどころである。

 最後の第3章では、『論語』『銀行王 安田善次郎』『ストーリーとしての競争戦略』『ビジョナリー・カンパニー(2) 飛躍の法則』『それでも人生にイエスと言う』の5冊。「自分の人生をどう思い通りに生きて行くか?」について、この5冊が支えてくれる。

 本を読むも読まないも自由だし、本がなくても生きることはできる。ただ、生きていくうえで、こうなりたいと決めるのも自分だし、こうなりたくないと思うのも自分。どうせなら、自分が好きなように生きていけばいい。自分の軸をしっかりつくっていくうえでも読んでおきたいもの。

 私の読書遍歴を照らし合わせても、読んだことのある本は、3分の2ほど。ぜひ、食わず嫌いをせず、読んでみてください。24節読み終えたら、きっと、頭の中で知識と知識がつながって、レベルアップしているはず。

 次回は、「どう読むか?」についてレビューする。

(書き手/編集部・武井康一郎)