2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、円安や物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はウエルシアホールディングス、ツルハホールディングスなどの「ドラッグストア」業界6社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
ドラッグストア各社増収
外出増え、化粧品好調
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は、以下のドラッグストア業界6社。対象期間は2023年8~12月期の四半期(マツキヨココカラ&カンパニー、サンドラッグは23年10~12月期、残りの4社は23年9~11月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・ウエルシアホールディングス
増収率:5.7%(四半期の売上高2994億円)
・コスモス薬品
増収率:18.6%(四半期の売上高2348億円)
・ツルハホールディングス
増収率:6.2%(四半期の売上高2559億円)
・スギホールディングス
増収率:12.8%(四半期の売上高1846億円)
・マツキヨココカラ&カンパニー
増収率:5.4%(四半期の売上高2626億円)
・サンドラッグ
増収率:7.7%(四半期の売上高1943億円)
ドラッグストア業界の主要6社全てが前年同期比で増収となった。前年に比べ、人々の行動制限に対する意識が弱くなったことから、風邪に対する医薬品および化粧品などの需要が増えてきているほか、インバウンド需要の増加の影響も背景にある。
ドラッグストア業界は、価格競争の激化や企業買収・売却が相次ぐなど激動の時代を迎えている。2月28日には、国内売り上げで業界トップのウエルシアホールディングスと2位のツルハホールディングスが、経営統合に向けた協議を開始することで合意したと発表。ウエルシアホールディングスの親会社であるイオンを含めた3社の間で、27年12月末までに最終契約の締結を目指すという。
業界2強の経営統合が呼び水となり、今後ますます業界再編が進みそうな機運が高まっている。
次ページ以降では、各社の業績を詳しく解説する。