ユーリー・トレティアコフ氏が重要書類を探すため、廃虚と化した村役場になんとか入り込んだのは、最近のある朝のことだった。同氏はロシアが占領していた村落マラコミシュバカの村長で、探していたのは電気料金の支払いを記録した古い台帳だ。雪が解ければ、地雷除去隊が道の地雷を一掃して、エンジニアが送電線の修理を始められる。かつて繁栄していたこの農村を復活させる最後のチャンスかもしれない。「電気がなければ村は死ぬ」。60歳のトレティアコフ氏はそう話した。ロシア軍がこの地域を去ってからしばらくたつ。ウクライナ軍が2022年9月に北東部で開始した反転攻勢で、ロシア軍を排除した。しかしロシアが残した荒廃は、3世紀の歴史を持つ村の復興を実現する可能性に疑問符を投げかける。
再建始めたウクライナの村、残った住民は15人
ロシア軍は村を去った 戦争前は140人が暮らしていた村は荒廃した
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