現地時間3月10日に発表された今年の米・アカデミー賞。宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』が長編アニメーション賞、山崎貴監督の『ゴジラ−0.1』が視覚効果賞を受賞した。日本映画の快挙に国内は湧いたが、その裏で授賞式の様子については「アジア人差別」だという声が上がり、SNS上で議論が紛糾している。日本人として、今回のアカデミー賞をどう評価したらいいのだろうか。(フリーライター 鎌田和歌)
「アジア系差別ではないか?」
きっかけとなった授賞式の動画
SNS上で広く拡散されて議論を呼ぶきっかけとなったのは、助演男優賞と主演女優賞の発表時の様子だ。
前提として、前回アカデミー賞のそれぞれの受賞者は中国系ベトナム人のキー・ホイ・クァンと、中国系マレーシア人のミシェル・ヨーで、どちらも『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(通称エブエブ)での演技で受賞した。また、例年プレゼンテーターは前年の受賞者を含む1〜3名で行われることが多い中、今回は5名がプレゼンテーターを務めていた。
まず、今年の助演男優賞のロバート・ダウニー・ジュニア(『オッペンハイマー』)は名前を呼ばれて壇上に上がると、トロフィーを持つキー・ホイ・クァンをほとんど見ずに片手で受け取り、横に並んだ他のプレゼンテーター2人とは握手をしたり、拳を合わせたりした。
前年度の受賞者に対して全く敬意がないように見える態度ではある。
さらに、主演女優賞のエマ・ストーン(『哀れなるものたち』)は、ミシェル・ヨーの隣にいたエマの親友として知られるジェニファー・ローレンスが一緒にトロフィーを渡すかたちになり、壇上でしっかり抱擁を交わしたジェニファーへの態度と比べて、他のプレゼンテーターへの対応は簡素だったように見える。
SNSの意見を見ると、エマ・ストーンはまだ壇上で混乱したようにも見えるが、ロバート・ダウニー・ジュニアの振る舞いは言い訳できないのではないかという見方が強いようだ。