映画版『スラムダンク』に負けず劣らずの勢いを見せているのが、高校生男子バレーボール漫画『ハイキュー!!』の映画版である。熱く支持される理由は?劇場に足を運んだ筆者が、その魅力の深奥を語る。(フリーライター 武藤弘樹)

劇場版も絶好調の『ハイキュー!!』
2024年の初週興行収入1位に

『週刊少年ジャンプ』で約4年前に連載を終えたマンガ『ハイキュー!!』は、今もなお人気が衰えず、今年2月16日に劇場版アニメが公開された。公開3日間で興行収入22億円を記録し、配給元の東宝によれば、2024年公開作品で初週興行収入1位、公開17日間では興収51億円突破とのことで(興行通信社調べ)、つまりは絶好調なのである。

 原作ファン、およびテレビアニメファンは歓喜していて、連日SNSでその興奮を伝えている。「高校生男子バレーボールをテーマにしたスポーツ漫画」とくくることができる本作品だが、「女性ファンが多い」「仕事や生き方に通じる名言が多い」といった特徴を持ち、”少年”のみならず幅広い層に愛されている。

 30年以上ジャンプを読んでいる筆者にとっても(最近は1年遅れであるが、毎週定期購読してなんとか追っている)、『ハイキュー!!』原作は歴代読んできた作品の中で最も好きなものの一つであった。

 連載当時、同じくジャンプ読者だった妹と毎週ハイキューの感想を言い合っていたのだが、話そうとすると誌面を読んでいたときの感動が蘇ってきて、毎度のようにお互い泣いてしまうという、こうして文字にすると相当気持ちの悪い兄妹であるが、それほどの痴態をアラサー・アラフォーの大人たちに演じさせるほど、ハイキューはものすごい作品であった。