実生活でも「あるある」
指摘されるアジア系への無視

 (2)の意見は、不遜に見えるロバート・ダウニー・ジュニアの態度も、ドレスのファスナーが壊れたと慌てたノリではしゃいでいるように見えるエマ・ストーンも、トップスターである受賞者の振る舞いとして失礼かもしれないが、そこにアジア人への差別意識があったと受け取ることはできないという意見。

 ロバート・ダウニー・ジュニアが別の場面でキー・ホイ・クァンと抱擁を交わす画像があったことから、意図的に彼をスルーしたわけではないと擁護する人もいる。

 たまたま前年度の受賞者がアジア系だったから、アジア人差別のように受け取られてしまったけれど、悪い偶然だったというのだ。

 (3)については、経緯がどうであれ、これは無意識の差別の表出だとする意見だ。例えば前年度の受賞者が黒人であった場合、黒人差別への意識が高いアメリカにおいて、差別を指摘されないために、スターたちはもっと丁重に気を遣った振る舞いをしたであろうという推測がある。

 アジア人に対してはスルーしたとしても、それがすぐに差別だと判断されることがないため、より雑に扱われるのではないかという意見だ。

 これについて、アメリカなどで暮らしたことのある人から、アジア系差別は確かにあるという声が相次いだ。その内容については、あからさまに罵倒されたり、攻撃されたりすることよりも、無視の方が傷ついたという声が多い。

 例えば、機内食で他の人が「肉と魚どちらが良いか?」と聞かれているのに自分だけ聞かれなかったり、レストランで空席ばかりなのに予約でいっぱいと言われたり、アジア系だけが奥の席にまとめて座らされたり……。