米連邦準備制度理事会(FRB)が2年前に急ピッチでの利上げに着手したとき、アラバマ州バーミンガムの住宅建設会社を率いるドワイト・サンドリン氏は、住宅ローン金利が7%に達するという見通しに恐怖を感じた。「死ぬほど怖かった」この会社は年間最高益を達成したばかりだった。サンドリン氏が手掛けるモダンな農家風住宅は、新型コロナウイルス禍後のブーム以降は販売が落ち込んでいるものの、中古住宅の在庫不足が価格を押し上げているため、利益は高水準を保っている。「市場は好調とまではいかないが、まだかなり堅調だ。理由はただ一つ、在庫不足にある」と同氏は言う。「今、住宅建設ビジネスで稼げないのなら、転職した方がいい」FRBは今週19~20日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、年内に利下げすることの是非や、利下げの時期・程度について判断を下す。FRBが答えなければならない重要な疑問は「金融政策はどの程度引き締まっているのか」ということだ。サンドリン氏のような建設業者の実体験や消費全般の底堅さから判断すると、それほど引き締まっているとは言えない。FRB高官らにとって、こうした状況は大幅利下げや早期利下げに異を唱えるものだ。インフレ率が2カ月連続で予想を上回った後では、なおさらだろう。
FRBが悩む「経済ブレーキ」の踏み具合
米経済が底堅いため金融政策は引き締め過ぎとの見方は後退しているが、すぐに変わる可能性も
有料会員限定
あなたにおすすめ