2017年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの魔法』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

 ありがとうの魔法Photo: Adobe Stock

目の前にいる一人ひとりが、自分の寛容度・許容度を上げてくれる大切な人

 自分にストレスを与える人(もの)、ストレスを感じさせる人(もの)、を「ストレッサー」といいます。

 では、「自分にストレスを与えるもの」がはたして地球上に存在しているのかというと、じつは、存在していないようです。

 ある現象が目の前を通り過ぎたとします。その現象について、「私」が何も感じなければ、その現象は、私にとって何の関係もない出来事です。

 一方、目の前の現象について「私」がイライラすると、その瞬間に、ストレッサーになります。

 ということは、「私」がストレスを感じなければ、ストレッサーは存在しないことになります。

 ストレスを与えるもの、こと、人が存在するわけではなく、「私」がストレスを感じたときに、はじめてストレッサーが生まれるのです。

「私」の寛容度・許容度が「9」だったとき、ストレッサー度「10」の人が目の前を通り過ぎたとします。その人は、「私」の寛容度・許容度を上回っていますから、当然、「私」はストレスを感じます。

 しかし、「私」が寛容度・許容度を「20」持っていれば、ストレッサー度「10」の人を見ても、気になりません。

「私」が寛容度・許容度を「20」持っていたとしても、ストレッサー度「30」の人があらわれた場合は、イライラしてしまいます。

 ですが、ストレッサー度「30」の人があらわれる前に、「私」の寛容度・許容度を「40」に上げておけば、「30」の人を黙って、笑顔で、見送ることができるでしょう。

 つまり、ストレッサーとストレスを感じる「私」との関係は、「相手のストレッサー度」対「『私』の寛容度・許容度」の問題であることに気づきます。

 ストレッサー度が高い人はいますから、そのような人があらわれてもイライラしないように、普段から寛容度・許容度を上げておくことが大切なのです。

 では、どうすれば「私」の寛容度・許容度を上げることができるのでしょうか。寛容度・許容度を上げるためには、どのような「修行」をすればいいのでしょうか?

 じつは私たちは、寛容度・許容度を上げるための「修行の場所」をすでに持っています。

 その修行の場所を「日常生活」と呼びます。24時間365日が、丸ごと「修行」の場なのです。

 修行の相手は、妻、夫、子ども、親、兄弟、上司、部下、先輩、後輩、友人、知人といった、ありとあらゆる人、もの、ことです。

 私たちは、こうした人たちを相手に、寛容度・許容度を上げるための「修行」をさせていただいているようです。

 そう考えることができたら、「私」の寛容度・許容度を上げさせてくれる相手に、思わず頭が下がり、手を合わせたくなるのではないでしょうか。