言葉や質問への返事ひとつで、人間関係はギクシャクするもの。夫婦であればなおさらで、家庭は天国にも地獄にもなります。「よくデキた夫」でも、妻を大切に思っていても、悪気はこれっぽっちもなくても、ふとした拍子に「妻のスイッチ」を押してしまいがちです。コラムニストとして活躍する石原壮一郎さんの著書『押してはいけない 妻のスイッチ』(青春出版社刊)から、一部抜粋・編集して、夫にとってわかりづらい、押してはいけない「妻のスイッチ」について紹介します。今回は【仕事・生き方】です。
疲れた様子を見た妻が「たまには休めば」と言ってくれたのに
「キミみたいに気楽な仕事じゃないんだよ」
忙しい毎日で気持ちが張り詰めていて、体力的にもいっぱいいっぱいで、相手を思いやる余裕をなくしていたのでしょう。せっかく心配してくれた妻に、とんでもないことを言ってしまいました。
仮に、妻の仕事が気楽そうに見えたとしても、本当の意味で気楽な仕事なんてありません。そう見えたとしたら、苦しい部分を表に出さずに穏やかさを保っている妻が、非常に素晴らしいということです。
自分が限界を超えるほど大変な状況だったとしても、このセリフを言っていいことにはなりません。働いている妻を平気で侮辱する傲慢さや、妻の仕事に対する理解や敬意のなさを示すことにもなります。妻としては腹が立つと同時に、そんな夫に激しく幻滅するでしょう。
さらに、妻を見下すことでプライドを保とうとしている側面や、自分のキャパシティと上手に付き合えていない気配も露呈してしまいます。口にした瞬間、夫への愛情も人としての信用も、瞬時に消滅しかねません。
「心配してくれてありがとう。そうだよね。でも、なかなかそうもいかなくてさ。キミは大丈夫? お互い、無理しすぎないようにしようね」