子どもが少し大きくなっても、親の悩みや不安は尽きません。今日もイヤな叱り方をしてしまったと、落ち込むことも……。きれいごとでは進まない子育てでうまく立ち回るために、23年間の小学校教師経験を含む40年超の実績のある教育評論家・親力アドバイザーの親野智可等:著『ずるい子育て』(ダイヤモンド社)に頼ってみませんか。本連載では、多種多様な子どもたちとその保護者に向き合って生まれた「親がラク&子どもが伸びる」一石二鳥のテクニックを紹介していきます。
子どもはまだ工夫することを知らない
「ここにカバンを掛けられたら便利だな」と感じたらフックを取り付けたり、「明日は遅刻しないようにしよう」と思ったら目覚まし時計をかけたり。私たちは、仕事や生活がうまくいくよう、何かしら工夫をするものです。
しかし、子どもはまだ工夫するということを知りません。そのため、忘れ物をしたりやるべきことができなかったりと、日々残念なことが起こってしまいます。
親がするべきことは「叱らなくてすむ工夫」
そのとき親は、「何回言ったらわかるの!」「なぜできないの!?」と叱りつけたくなりますが、それでは解決になりません。子どもができないのは当たり前。ではどうすればよいかというと、親がするべきことは「叱らなくてすむ工夫」です。「叱ってすませる」のではなく「叱らなくてよいシステム」を作るのです。
「工夫しよう」というと、「そんなの面倒くさい」「ぜんぜんずるい子育てじゃない」と思われるかもしれません。でも、子どもは思いがけずうまく動けるようになってうれしいし、親もいちいち叱らなくてすむのでストレスが減ります。ほんの少しの手間でずいぶんラクになったと実感していただけるでしょう。
工夫することで人生をよくしていける
合理的な工夫をすると、物事がうまくいくだけでなく、もっといいことが起こります。それは、「うまくいかないことがあるときは、工夫をする」ということそのものを子どもに教えられるということです。
人生、うまくいかないことは必ず起こります。そんなとき工夫をしつづけられる人が、結果的に人生をよくしていけます。親が工夫していれば、子どもも人生で工夫することを学ぶのです。
言うことは聞かないけれど、することは真似る
反対に子どもが失敗したりうまくいかないとき、叱ってばかりだとどうなるでしょう? こんなときも子どもは親の姿から学んでいます。何を学ぶかというと、「うまくいかないときは、それを理由に相手を責めればいい」「叱れば気持ちがスッキリする」ということです。私はこれを「裏の教育」と呼んでいます。「言うことは聞かないけれど、することは真似る」という言葉の通りです。
※本稿は『ずるい子育て』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。