「簡単だな!」と思った方は罠にはまっている可能性があります。
 本当にその答えで合っているのか、もう1回だけ考えてみてください。
 ちなみに正解は「2個」……ではありません。
 隠蔽工作なんて、そうそううまくはいかないものです。

「%」の不思議

 前提を確認しましょう。
 工場には200個の製品があり、そのうち99%が不良品です。

 200 × 0.99 = 198

 つまり200個のうち、不良品が198個で、良品が2個です。
 では、工場にある不良品の割合を98%に減らすためには、何個の不良品を外に出せばいいのでしょうか?
 この問題では、

 多くの人が直感で「2個」と答えてしまいます。

「全体が200個=1%は2個=2個減らせば1%減る」
 という思考によってです。わかります。
 でも、本当にそうなのか? 実際に検証してみましょう。
 不良品を2個減らすと、不良品は196個に。良品は2個のままなので、合計198個となり、不良品の割合は以下となります。

 196÷198=0.9898989……

 はい、98%ぴったりにはなりませんでした。
 不良品を減らすことで、全体の個数(分母)も減ってしまうためです。

予想外の解答

 不良品を2個減らしただけでは98%にはなりませんでしたが、確実に割合は下がってはいます。
 つまり、不良品を減らし続けていけば、いつか98%になります。
 では、その数とはいくつなのか。
 それは……

 100個です。

「多すぎる」と思うかもしれませんが、検証するとわかります。
 不良品を100個減らすと、不良品は98個。
 良品は2個のままなので、全体は100個。
 つまり割合は、

 98÷100=0.98

 98%になりました。
 100個の不良品を外に出すことで、ようやく「不良品98個、良品2個」となり、不良品の割合を98%にできるのです。

 <正解>
 100個の不良品を工場の外に出す

「思考」のまとめ

 素早く計算ができる人ほどひっかかりやすい問題でした。
 実際に計算してみれば簡単にわかりますが、暗算でスピーディーに答えなければならない状況だと多くの人が間違えると思います。
 割合など、「%」を求める計算は慎重におこなうのがいいと思います。

 ・「%」はパッと見の印象と実態が異なることが多いので、しっかり検証することが大事

(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。)

野村裕之(のむら・ひろゆき)
都内上場企業のWebマーケター
論理的思考問題を紹介する国内有数のブログ「明日は未来だ!」運営者。ブログの最高月間PVは70万超。解説のわかりやすさに定評があり、多くの企業、教育機関、テレビ局などから「ブログの内容を使わせてほしい」と連絡を受ける。29歳までフリーター生活をしていたが、同ブログがきっかけとなり広告代理店に入社。論理的思考問題で培った思考力を駆使してWebマーケティングを展開し、1日のWeb広告収入として当時は前例のなかった粗利1,500万円を達成するなど活躍。3年間で個人利益1億円を上げた後、フリーランスとなり、企業のデジタル集客、市場分析、ターゲット設定、広告の制作や運用、セミナー主催など、マーケティング全般を支援する。2023年に現在の会社に入社。Webマーケティングに加えて新規事業開発にも携わりながら、成果を出している。本書が初の著書となる。