2013年1月から24年1月までの実質賃金
(現金給与総額)の変化率

金融政策は「普通」に戻る、日銀見通しの上下リスクを中立的に評価する運営に期待2013年1月から24年1月までの実質賃金(現金給与総額)の変化率 出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査」

 日本銀行は3月の金融政策決定会合で、2%の物価安定の目標の実現が見通せる状況に至ったと判断し、異次元緩和政策に幕を下ろした。今後は短期金利を主たる政策金利とし、経済物価見通しが変更される場合や、見通しは不変でもその蓋然性や上振れ・下振れリスクが変化した場合に政策金利の変更を検討するという、かつての金融政策運営方法に戻ることが示された。

 今後の金融政策を考える上で、気になるのが消費の弱さだ。日銀は、春闘での賃上げの第1回回答が想定以上であったことなどから消費は持ち直すと考え、足元の消費の弱さは賃金と物価の好循環を妨げないと判断したのだろう。

 春闘の最終結果が日銀の想定よりも強い場合には、上振れリスクも生じ得る。他方で、春闘の大幅賃上げが中小企業まで広がらない場合には、消費が持ち直さない可能性があり、日銀の見通しには下振れリスクもある。