春闘第1回集計回答、5.28%
昨年上回る高率回答の「落とし穴」
春闘で高額回答が相次いだ。日本製鉄は定昇込みで前年比14.2%という極めて高い回答だった。電機大手や自動車大手でも満額回答が相次いだ。連合が3月15日に発表した第1回回答集計では平均賃上げ率は5.28%になった。
要求平均の5.85%(3月4日時点の連合集計)までには届かないにしても、賃上げ率は昨年の3.6%を大きく上回る。
全産業の賃上げ率見込みは、1月時点の民間予測平均で3.85%だったが、見通しの上方修正が相次いでいる。5%台になるとの見方もある。
こうした高率の賃上げと値上げによって賃金と物価の好循環が始まり、日本経済がこれまでの停滞状態から脱却するという見方が一般的だ。
日本銀行も賃金と物価の好循環で安定的・持続的な2%物価目標の実現が見通せる状況になったとして、17年ぶり利上げなどで金融政策の正常化に踏み出した。
しかし、いま生じている賃金上昇を手放しで喜ぶわけにはいかない。そこには大きな「落とし穴」がある。