ラオス「20日間で250万円」
日本大使館は注意喚起を発表

 真偽のほどは不明ではあるものの、SNS上では「客に薬物を強要された」「ビザを没収され、軟禁状態で労働させられた」「出稼ぎに行って、帰ってきていない子がいる」、はたまた「目をえぐられた」「体内に電球を入れてかち割られた」といったショッキングな話も散見される。

 実際に、2023年には外務省が注意喚起を促す事態も起こっている。場所は、ラオス北西部のボケオ県(タイ、ラオス、ミャンマーの国境地帯)にある経済特区「ゴールデン・トライアングル(金三角)」。かつて世界最大の麻薬密造地帯として知られた場所だ。

 現在は中国資本によって開発された経済特区として、カジノ(キングス・ロマン・カジノ)を中心に栄えている。中国本土さながら、人民元が流通し、町の看板も、話す言語も中国語。客の中心は、中国内陸からやってくる、中国人の富裕層だという。

 同地区は、米財務省も「人身売買や麻薬取引、希少生物の売買など、数々の違法行為の舞台になっている」と指摘している超危険地帯なのだが、2023年、この地区での高額出稼ぎの案件情報がSNSなどを介して、日本でも広く出回った。

 ラオスでの出稼ぎ案件を紹介するスカウトらのツイートを見ると、「経済特区での超高額案件」「20日間で250万円」「日給15万円」「単価60分3万円~」「ビザ、航空券代は全額支給」などとある。

 さらに「25歳以下」「スペ105~(身長-体重=105~)」「色白」「日本人顔で美人」などの条件面が記載されている投稿もある。入国においては「30日間の観光ビザ取得必須」とあるため、観光ビザで不法就労をする前提だろう。

「滞在日数は基本30日、最大90日」とあり、「給料は帰国時に持ち帰り可能」とのことだが、最後まで働き切ったとしても、確実に給料をもらえる保証はどこにもない。

 在ラオス日本国大使館は次のような注意喚起を出し、邦人が事件に巻き込まれないように呼びかけている。

1.最近、ミャンマー及びタイと国境を接しているボケオ県の経済特別区において、高額な報酬等の好条件を提示してラオスに渡航させた後、実際は自由を拘束し違法活動に従事させるという、外国人を被害者とする求人詐欺が多発しています。

2.ラオスでは治安当局による取り締まりや捜査能力が十分ではないことから、上記1の状況に陥った場合、治安当局による救出や解決が容易ではない事情があります。

3.つきましては、特にSNSや知人等から上記1のような求人情報を得た場合は、上記情勢を十分理解し、騙されないように十分注意してください。(2023年4月発表)。