近年増加している日本人出稼ぎ風俗嬢。当然、国によっては治安の悪い場所も多く、危ない噂も飛び交っている。そんな危険地帯に出稼ぎに行った女性が見たものとは。※本稿は、『ルポ 出稼ぎ日本人風俗嬢』(朝日新聞出版、朝日新書)の一部を抜粋・編集したものです。
「薬漬けにされた」という噂も
海外での出稼ぎリスクとは
海外出稼ぎに行った女性たちからの話も総合すると、海外での仕事のスタイルは、大きく3つに分かれる。
1つ目が、店が用意した部屋に女性が待機し、客が部屋にやってくる「インコール」。
2つ目が日本でいうデリヘルのように、女性が客の滞在しているホテルや自宅などに行ってサービスを行う出張型の「アウトコール」。
3つ目が「店舗型」で、売春宿や日本でいうソープランドのようなサウナ、マッサージ店を装う風俗店、「KTV」と呼ばれるカラオケ付き風俗店など、国や地域によって形式が異なる。
これらは特定の店で働くうえでのスタイルで、個人で動く場合には、自分で用意した場所に客が来るインコールか、出張型のアウトコールが多いようだ。
海外では、日本のように多種多様なジャンルの本番類似行為を提供する風俗店があるのではなく、本番ありが前提の店が基本。日本人女性がエージェントらを介して働く店舗型の店は、中国人がオーナーで、客のメインも中国人という場合が多い。
エージェントなどを通して出稼ぎに行く日程は、観光ビザの有効期限や店などに応じて変わるものの、アメリカ、カナダ、オーストラリア:10日~3カ月間、香港:5日~2週間、台湾:10日~1カ月間、マカオ:5日~2カ月間、その他アジア:5日~が目安とされる。
出稼ぎに行くメリットとしてよく謳われるのは、(1)日本より稼げる、(2)過度なサービスをしなくても良い、(3)日本人という需要が高い、(4)身バレのリスクが低いという点だ。だがどのポイントも、国や女性、働く店や客などによって左右される部分が大きく、いずれも蓋を開けてみると全く違ったということも十分にありうる。
海外出稼ぎは、稼げる例ばかりとは限らず、命に関わる危険を伴う可能性も十二分にある。性風俗業で働く当事者を支援する当事者団体「SWASH」の要友紀子さんも、「これまでは海外から日本に出稼ぎに来る女性たちの相談が多かったのが、最近は海外にセックスワークに行った日本人が、現地でトラブルに巻き込まれるなどして相談がくるようになった」と話す。
友人に紹介されてオーストラリアで出稼ぎをしたヨウコさんも、接客中に客から乱暴を受けた経験があるが、「薬物中毒の客に薬漬けにされた子がいる」「プレイ中に暴力を振るわれて大怪我を負った子がいる」「レイプされた子がいる」「マフィアが経営している店で、女の子たちが寝泊まりしているシェアハウスに泥棒が入り、金銭を全て盗まれたけど、泥棒は経営者の手下だったらしい」などの話を耳にしたことがあるという。