土屋鞄はなぜ「子どもがほしい」ランドセルをやめたのか?Photo:Diamond

少子化で縮小するランドセル市場において、急成長する会社がある。東京都足立区に本社を置く土屋鞄製造所だ。土屋鞄はなぜ、ランドセルの大人気ブランドになったのか。元COOが解説する。【前後編の前編】(キャリーミー 大澤亮)

2025ランドセル商戦がスタート
「土屋鞄」はなぜ人気ブランドに?

 2025年に小学校に入学する児童のためのランドセル商戦、通称「ラン活」がスタートしました。小学校の児童数は、1958年には1349万人いたのが今では約605万人(文部科学省、2023年度調査)と、半分以下になっています。そんな超縮小市場において、急成長している会社があります。東京都足立区に本社を置く土屋鞄製造所です。

 私は縁あって土屋鞄の取締役兼COOとして2007年に入社しました。当時の社員数は20人程度だったのですが、今や700人規模にもなっています。ちょうど私の入社前後から急成長し、私が在籍していた09年までに売上高、利益ともに2年で約2倍になりました。その後も業績を拡大し、今や押しも押されもせぬランドセルの大人気ブランドとなりました。

 元役員だったということで、土屋鞄が急成長したことに対して、
・広告がすごく上手ですよね、センスがいい
・商品は高品質でデザインも素敵ですね

 といったコメントをもらうことが多いのですが、いずれも当たらずとも遠からず、本質ではありません。

 では、土屋鞄は縮小市場でなぜ急成長できたのか? ヒントは、「ずらし目線」です。少なくとも二度にわたり「ずらす」ことで成長しています。