実写ドラマ『花より男子』の主演女優・井上真央さん実写ドラマ『花より男子』の主演女優・井上真央さん Photo:JIJI

累計5000万部を超え、日本だけでなく韓国や台湾でもドラマ化されるなど、少女マンガ史上最大級のヒット作となった『花より男子』。その人気は、魅力的なキャラクターや恋愛模様だけでは説明できないという。同作がヒットした理由を時代背景とともに読み解く。※本稿は、評論家の長山靖生『恋愛少女マンガ全史――ラブコメと若者文化の変遷を探る』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。

実写化ドラマも大ヒット
『花より男子』が支持を集めた理由

 90年代の恋愛少女マンガといえば、まず筆頭に挙げるべきなのは神尾葉子『花より男子』(『マーガレット』1992年8号~2003年18号)でしょう。

 富豪や名門の子弟が集まることで知られる英徳学園に、母の勧めで入学した一般家庭の娘・牧野つくしが、持ち前の正義感と気の強さから、学園を牛耳っている特別に実家が凄いイケメン4人組(F4)の逆鱗に触れてしまい、学園中からいじめのターゲットにされたものの、逆にF4から一目置かれるようになり、その筆頭格の道明寺司と恋人同士になっていく……という物語で、主人公女性の活発さが特異的ではあるものの、「王子様と普通の女の子」の恋であり上昇婚願望の充足といえばいえるのだが、キャラが立っていてつくしの人物設定が魅力的であり、また海外生活の長かった設定の花沢類が、優秀ということになっているけれども日本語が変でバカっぽいなど、絶妙なバランスで飽きさせず面白く、ロマンチックな物語としても高い完成度をみせていました。

 バブル崩壊後の、日本経済が容易には回復できない低迷にはまり込んでいくなかで進行していたことも、この作品が読者に熱く支持された理由の1つだったのかもしれません。