イランは過去20年間、イスラエルとの戦いでは陰に隠れ、資金援助する中東各地の武装組織に頼ってきた。イスラエルに対して13日に行った直接攻撃は戦略的な転換であり、大きな賭けに出たことを意味する。イランはこれまで、通常の軍事力に関してはイスラエルとその最大の同盟国である米国に劣ることを認識してきた。1979年のイラン革命以来ほぼ一貫して、イランには米国の同盟国に対する直接攻撃において支援を仰げる国家はほとんどなかった。ドローン(無人機)とミサイルによるイランの今回の大規模な攻撃に至る背景には、ロシアや中国といった米国と対立する国との外交関係強化や、サウジアラビアなど近隣諸国との関係修復、さらに、石油の違法販売を通じた国内景気の下支えがあった。攻撃によって、イラン政府が西側との融和から転換し、米国とその同盟諸国と公然と対決する姿勢に傾いていることが浮き彫りになった。イランの軍部は、イスラエルが報復すれば再び同じ対応を取ると表明した。