A:人間 B:悪魔 C:天使
いつも本当のことを言う「天使」と、いつも嘘をつく「悪魔」。
彼らが登場するこの形式は「天使と悪魔のクイズ」とも呼ばれ、さまざまな類問が存在します。
今回は最もシンプルで、難易度はかなりやさしいレベル。
小学生でも解けるためヒントはありません。
1人ずつ順を追って、発言とその特徴に注目していきましょう。
仮定からはじめよう
問題文を読んで「1人ずつ地道に正体を考えていくしかないのかな……」「めんどくさいな」と思った方もいるのではないでしょうか?
ええ。残念ながら正解です。
論理的思考とは一瞬で何かを解決してくれる魔法ではなく、正しい答えを地道に導くための武器です。
よって論理的思考の基本は、
「もし○○だったら……」と、仮定と検証を繰り返すことです。
というわけで考え方としては、「もしAが天使だとしたら」「悪魔だとしたら」「もしBが」「もしCが」と仮定して、矛盾が起きるパターンを消していきます。
さて、基本はこれで大丈夫なのですが、この問題をややこしくしている「人間」という存在には注意が必要です。
「人間」はランダムに真実や嘘を言うため、発言がヒントになりにくく、消去法で見つけるしかありません。
そこで、まずは発言がつねに一貫している天使や悪魔について考えていきましょう。
1人目の正体は?
まず、Aが天使だと仮定した場合。
「私は天使ではない」の発言は「真実」となります。
つまり、Aは「天使ではない」ということに……。
Aを天使だと仮定すると、仮定と発言に矛盾が生じてしまいました。
よって、Aが天使ということはありえません。
では、Aは悪魔なのか?
その場合、Aの「私は天使ではない」の発言は「嘘」となります。
つまり、Aは「天使である」ということに……。
Aを悪魔だと仮定すると、仮定と発言に矛盾が生じてしまいました。
つまりAは悪魔でもありません。
残された可能性はたったひとつ。
Aは「人間」です。
2人目の正体……?
次に、Bの正体を考えてみます。
Bが天使だった場合、「私は悪魔ではない」の発言は「真実」ということになります。
ここに仮定との矛盾はありません。
ではBが悪魔だった場合は?
「私は悪魔ではない」の発言は「嘘」であり、Bは悪魔だということになります。
ここにも仮定との矛盾はありません。
つまり、
Bが天使か悪魔のどちらかは、まだ特定できません。
3人目の正体へ
Bが特定できないため、Cについて考えてみます。
Cが天使だった場合、「私は人間ではない」の発言は「真実」ということになり、「Cは天使である」という仮定との矛盾はありません。
では、悪魔だった場合はどうでしょう。
「私は人間ではない」の発言は「嘘」であり、Cは人間だということになります。これでは、「Cは悪魔である」という仮定と矛盾します。
よって、Cは「天使」でしかありえません。
そして、最後に残ったBが「悪魔」ですね。
「思考」のまとめ
とてもシンプルですが、「仮定して考え、矛盾のない真実を導く」という、論理的思考のエッセンスが詰まった良問です。
わかっていることから思考をはじめて、論理がつながるかどうかを確かめていく。
これが論理的思考の基本となります。
加えてこの問題では、「正体がわからない人物」をいったん排除して考えることも重要なポイントでした。
「不確定な情報」を見抜くことも、論理的に考えるうえで大切なので、覚えておくとよいでしょう。
・わかっている情報を手がかりに考えるのが「論理的思考」の基本
・ひとつずつ仮定しながら、論理が成り立つか考えていく
(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。)
都内上場企業のWebマーケター
論理的思考問題を紹介する国内有数のブログ「明日は未来だ!」運営者。ブログの最高月間PVは70万超。解説のわかりやすさに定評があり、多くの企業、教育機関、テレビ局などから「ブログの内容を使わせてほしい」と連絡を受ける。29歳までフリーター生活をしていたが、同ブログがきっかけとなり広告代理店に入社。論理的思考問題で培った思考力を駆使してWebマーケティングを展開し、1日のWeb広告収入として当時は前例のなかった粗利1,500万円を達成するなど活躍。3年間で個人利益1億円を上げた後、フリーランスとなり、企業のデジタル集客、市場分析、ターゲット設定、広告の制作や運用、セミナー主催など、マーケティング全般を支援する。2023年に現在の会社に入社。Webマーケティングに加えて新規事業開発にも携わりながら、成果を出している。本書が初の著書となる。