会合にタクシーで来た議員に
記者が質問「なぜタクシーを使った?」
スウェーデン国内の出張をする場合、「目的地に移動するためのもっとも経済的な方法」を選ばなければならないことを議員は知っている。出張マニュアルのガイドラインでは、議員は目的地へのルートや移動手段を計画する際、環境への負荷も考慮しなければならないことになっている。しかし、誰もそのルールをどのように適用しているかについては問われない。
「原則的に議員は、自分で自由に決めることができます。議員に3等席を取れとは言いません。しかし、議員は有権者に、なぜ飛行機に乗ることにしたのかなどについて説明をする責任があります。そして、有権者は、その行為で議員を判断するのです。最近、ある議員が、他の議員が鉄道で行ったところに飛行機で行った理由を説明しなければならないという状況に追い込まれました。議員がお金を浪費し、環境保護を軽視すると、スウェーデン人は憤慨するのです」
このように話したアスペグレン氏は、一般市民はよく「議員サービス」を訪れたり、連絡をしてきて、議員の支出について情報を求めてくると付け加えた。
自由党のエヴァ・フリボリ議員も、メディアからの圧力を次のように認めている。
クラウディア・ワリン著/アップルヤード和美訳
「1度、会合に行くためにタクシーに乗ったことがあります。書類がいっぱいあり、時間も遅くなっていたからです。そうしたら記者が、『ほかの人はバスで来たのに、なぜタクシーで来たのですか?』と尋ねました。メディアは常に政治家を見張っていますから、私たちは税金を不必要に使うべきではないと自覚しています」
アスペグレン氏によると、「議員サービス」の仕事は議員との摩擦や争いもなく、円滑に行われているという。そこで私は、次のような質問をしてみた。
「厳しい監視があるからこそシステムは不正がないのか、それとも、大抵の政治家が不正や公金で私腹を肥やすことを断固として拒絶する高い倫理基準を保っているから欺瞞がないのか?」
「両方でしょうね。それでも、私たちはすべてをチェックするんですよ。そして、議員はすべての経費の証拠を提出しなければなりません。確認された、事業者からの請求書を付けてです。ですから、欺瞞が入り込む余地があまりないのです」