34年ぶり円安の流れは変わるか
鍵は米国の雇用と物価の伸び率鈍化
ドル円相場は一時1ドル154円台となり、34年ぶりの円安が続く。
18日までワシントンで開かれたG20(20カ国・地域)財務相・中央銀行会議では各国から米金利の高止まりを懸念する声が相次ぎ、17日の日米韓財務相会談では、最近の「急速な円安および、ウオン安に関する深刻な懸念」が声明に盛り込まれた。
今のドル円相場は、日米の金融政策を巡る思惑が主導する展開で、当面は引き続き、日米の金融政策や金利差の動きに敏感に反応する展開が予想され、とりわけ米国の雇用と物価の伸びが明確に鈍化するかどうかが、今後の相場の鍵になる。
メインシナリオは、9月にFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げに転じ、一方で日本銀行が追加利上げをして日米金利差が縮小、ドル安・円高の流れに転換すると予想しているが、米国の雇用と物価の伸びの鈍化が予想外に遅れた場合、円は160円に近づくことがあり得る。
その場合、政府・日銀の円買い介入実施の可能性が高まるが、現状では、前回2022年の介入実施時に比べると原油価格など輸入物価の上昇は大きくなく、介入を判断する余裕はまだある状況だ。