2024年「円高予想」の読み違いリスク、ドル円相場「再び150円台」の可能性は?東京外国為替市場の円相場は円安が進行し、1ドル=151円台前半を付けるモニター=11月1日午後、東京都港区 Photo:SANKEI

米インフレや景気、3回「読み違い」
「円高予想」が盤石といえない理由

 この3年余り、コロナ禍そしてウクライナ戦争などの地政学的緊張という二つの世界経済への波乱要因は、伝統的な経済予測モデルの信用性を大きく毀損した。

 特に米国経済と米国市場の見通しでは、3回の致命的な「読み違い」が起きたことは特筆に値する。まず、新型コロナウイルスの感染が拡大した2021年は、米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ見通しが外れて引き締めが大幅に遅れ、22年は金融市場が金融引き締めのピークを読み間違え、23年には多くのエコノミストがハイペースの利上げによる景気後退を予想したものの失敗した。

 こうしてみると、今年の米国経済に関するコンセンサスの信頼性にも限界がありそうな気もする。現在、市場に広がっているソフト・ランディングや政策金利大幅低下の予想は果たして当たるのか、と疑いたくなるのは当然だろう。

 為替市場では、年内に米国が利下げに転じ、日本はマイナス金利を解除して金利差が縮小するという見立てに基づく「円高予想」が大勢だが、大丈夫なのかどうか。

 実際、“4回目”の読み違いが起きそうな兆候や要因は日米にある。