34年ぶり円安はどこまで進むのか、米インフレ長期化だけでない「円安構造要因」東京外国為替市場の円相場は下落し、1ドル=151円台後半を付けたモニター(3月27日) Photo:SANKEI

日米金利差拡大が短期要因だが
2010年頃から円需給の構造に変化

 東京外国為替市場では、3月27日、1ドル=151.97円と、34年ぶりの円安をつけた

 年初、1ドル=140円台前半だったドル円は、右肩上がりで円安が進行し、2024年のドル円は、円安基調が鮮明だ。

 多くのエコノミストやストラテジストは23年末時点で24年のドル安・円高を予想していたが、年初来のドル円は逆方向の動きで推移している。その原因は、米国経済が堅調でインフレ率は鈍化したものの、予想以上に高インフレが続く見通しになり、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げが後ずれし、日米金利差が拡大したことによるところが大きい。

 今後も、短期的にはドル円が高止まりする可能性が高く、ドル円は当面1ドル=140円台後半~150円前半のレンジを中心に推移するとみられる。その後、FRBが利下げサイクルに転換する中で、年末にかけては徐々にドル安・円高基調に転じると予想している。

 だが、2010年頃から、貿易黒字の消滅や対外直接投資の増加、「デジタル赤字」拡大など円の需給を巡る構造変化が起きており、かつてのように“シナリオ”が進むかどうかは見通しにくい。