「老後は2000万円が必要」は持ち家前提

 さらに、世の中的にも話題になっている「老後2000万円問題」は持ち家が前提になっています。総務省の家計調査によると居住費は月14,500円とされており、なかなかその金額で家を探すのは困難でしょう。

 ここまで、さまざまな前提についてお話ししましたが、仮に一生賃貸に住むとして老後はどのくらいの金額がかかるのでしょうか。近年は寿命も伸びていますから65歳から95歳までの30年間で計算してみましょう。統計的に家賃の相場はおよそ月56,000円とします。(総務省の住宅・土地統計調査)そうすると、

 家賃56000円×12ヵ月×30年=2016万円
 ※家賃は地域差もあるため、あくまで概算

 となります。ここに加えて、更新料や場合によっては引越し費用などもかかってきますので、費用としてはもっと大きくなるでしょう。

 ですから、もし老後も安心して賃貸で暮らすとなると生活費の2000万円と住居費の2000万円の合計4000万円が必要になるわけです。近年はNISAをはじめとする投資ブームなどで資産を増やす人も増加していますが、それでもこれだけのお金を退職金などど合わせて用意するのは簡単ではないでしょう。

 もちろん、賃貸が絶対にダメということはないですが、「家を買うのはもったいない」という理由で賃貸を選んでいる場合は、損をしてしまう可能性が高いです。

 なにより、持ち家は「資産」の側面もありますから、老後に住みかえるとなったときも、自宅を売却することで資金を調達することができます。そういった点でも「お金」の面で考えると賃貸は老後に困るリスクが高まるのです。

 賃貸派と持ち家派のどちらも正解ではありますが、「なにがなんでも賃貸!」と決めつけてしまうのは非常にもったいないことです。ぜひ、両方のメリット・デメリットを長期目線も考慮して検討してみてください。