「家賃補助が充実しているから家を買う決心がつかない」の落とし穴家賃補助を投げうってでも家を買うほうがいいのか……悩ましい選択だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

人手不足で家賃補助増加
そこに潜む「落とし穴」とは

 人手不足の中、家賃補助をする会社は増えた。15万円の家賃を勤めている会社が10万円家賃補助してくれたら、毎月の支払いは5万円で済む。いかにもお得そうで、マイホームの購入判断を鈍らせるには十分おいしい話である。

 では、家賃補助が多額にある人は家を買わなくてもいいかというと、どうだろうか。気になるのは、定年退職したら家をどうするかだ。老後が30年あると考えれば、年金で家賃を払うとかなり厳しい生活を強いられる。そうしたケースの最適解を考えてみよう。

 まず、家賃補助の一般的な制度を想定しておこう。家賃の一定割合や一定額を会社が負担し、それには年齢制限(例:30・40歳まで)があることが多い。その対象者は、新入社員、独身、地方出身者であることが多く、実家住まいや持家には支払われない。そもそも歪んだ制度である。

 こうした制度設計には、法人側の以下のような思惑がちらついて見える。

 ・若手は囲い込みたいが、中堅以降はそうではない。

 ・給与体系は全年齢層に影響してしまうので、上げたくない。

 ・新入社員を採りやすくするには、他社に並んで家賃補助をするしかない。

 ・年齢制限のある社宅や家賃補助は、会社としては都合がいい。

 ・持家に同じ補助をすると、転勤や異動の妨げになるかもしれない。

 ・社員との関わりは定年までで、それ以降は知ったことではない。