ジョー・バイデン米大統領とその国家安全保障チームは4月13日、ホワイトハウスのシチュエーションルーム(危機管理室)のモニターで、最初は30発、次に60発、最終的に100発以上を数えるイランの弾道ミサイルが猛烈な勢いでイスラエルに向かう様子を緊張感が高まる中で見守っていた。イランの巡航ミサイルと無人機(ドローン)の群れはすでに空中を飛行しており、ミサイルと同時に着くようタイミングが計られていた。バイデン氏と側近らはこの大規模な集中砲火が、米国とイスラエルが1週間余りかけて強化した防衛網を圧倒しかねないと懸念していた。イランがイスラエルに仕掛けた初の直接攻撃の規模は、米情報機関が想定していた最悪のシナリオに匹敵するものだった。米当局者は後日そう語っている。それは米国の緊密な同盟国イスラエルの脅威となるばかりか、半年に及ぶ中東危機が全面的な地域戦争に発展するのを防ぎたいバイデン氏の希望をも脅かすものだった。