日経平均株価が3月4日に4万円台を突破、日本銀行は3月19日にマイナス金利を解除した。日銀は「2%の物価安定の目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断した」「これまでの長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みおよびマイナス金利政策は、その役割を果たした」と説明している。日本経済は90年代中頃からとされるデフレーションから脱却したということだ。
日本は20年代に入り、新型コロナウイルス禍による工場停止、輸出の停滞で半導体不足が顕在化、ロシアによるウクライナ侵攻で食糧不安、少子高齢化による人手不足などから、原材料費の高騰、物価高が続いている。
30年も続いたデフレに慣れ切ってしまった日本社会は、外的要因によるインフレーションに戸惑っている状況だ。物価高と人手不足でアルバイト・パートの人件費を上げざるを得ず、それが商品の値上げにつながった。岸田文雄政権は6月から所得税と住民税の定額減税を実施するが、これから続くと思われるインフレ時代には賃金上昇は欠かせない。とくに大手企業が率先して賃金を上げないと中小企業にも及ばない。
そんな状況のなかで、多くの業種で給与引き上げに踏み切っている。それは、毎年の薬価引き下げに喘ぐ医薬品業界も例外ではない。