米国最大の銀行が、同国で金融が誕生した場所に別れを告げている。JPモルガン・チェースは150年以上前に構えたウォール街45番地の支店を閉鎖し、世界のマネービジネスの象徴とも言えるウォール街を後にした。この出来事は、この地を訪れるほとんどの観光客の記憶には残らないだろう。かつてウォール街にあった銀行や証券会社の大半はマンハッタンの他の地区などに移転し、既にここにはない。ウォール街からの流出は2001年9月11日に数ブロック先で発生したテロ攻撃で拍車がかかり、新型コロナウイルス流行でさらに加速した。JPモルガンのウォール街との別れは、この地区での同行の歴史を考えると画期的な出来事だ。ニューヨーク証券取引所に面したウォール街23番地で、J・ピアポント・モルガン氏と息子は同行を世界有数の銀行に育て上げた。2人の貢献もあって、米国は国際金融の中心となった。