約34年ぶりのドル高円安
日米金利差は縮小方向へ
日本銀行が金融政策決定会合で政策の現状維持を決めた4月26日、ドル円相場は156円台と1990年5月以来、約34年ぶりの高水準を記録した。ドル円上昇の主因と見られるのが日米の金利差である。
コロナ後の需要回復と、穀物・エネルギー価格の上昇を受けた世界的な物価高により、米国など多くの国々で金利が上昇した。一方、日本銀行は3月の金融政策決定会合でマイナス金利を解除し、イールドカーブコントロール(YCC)を廃止するといった金融緩和の修正を決定したが、それでも短期金利はほぼゼロのままだ。日本の緩和姿勢は当面続くことが見込まれている。
米国は今年3月にも利下げが開始されるとの期待が昨年末ごろに広がったが、その後、インフレの高止まりなどを背景に利下げ開始時期見通しが後ずれしている。足元では6月の利下げ開始すら難しいとの見方が強まっている。
ただ、日本ではマイナス金利が解除され、日銀が今後、利上げに向かうとの見方が浮上している。米国の利下げ開始時期は後ずれしているとはいえ、年内に複数回の利下げが見込まれていることに変わりはなく、日米の金利差が縮小することが現実味を帯びてきている。こうしたことから、金利差を狙った投資の対象が今後、ドルから他通貨に代わる可能性も指摘される。
金利差を狙う上で検討候補となるのが高金利通貨だ。次ページでは日本で注目を集めるトルコリラ、ブラジルレアル、メキシコペソの3通貨を対象に現状と今後の見通しを整理する。