2024年新興国通貨「4つの焦点」、ブラジルレアルとメキシコペソが上昇?Photo:PIXTA

23年の新興国通貨のパフォーマンス
メキシコなどがアウトパフォーム

 23年はメキシコペソに続き、ポーランドズロチ、ブラジルレアル、ハンガリーフォリントの上昇率が大きく、米国での高金利政策の長期化にもかかわらず対ドルでも上昇した。

 新興国の多くはインフレが鈍化したが、メキシコは政策金利を維持した。ブラジルやハンガリーは利下げを開始したものの、インフレ鈍化に見合うものであり実質政策金利(政策金利-インフレ率)が高水準に維持されたことが下支えとなった。

 ポーランドは政策金利がインフレに比べ低く、10月15日の総選挙前に利下げが開始された。しかし、同国総選挙でトゥスク元首相率いる親EU政党(市民プラットフォーム)中心の連立政権が発足。EU分配金受領期待が高まったことがポーランドズロチの下支えとなった。

 一方、アルゼンチンペソ、トルコリラ、ロシアルーブルはアンダーパフォームとなった。アルゼンチンでは、ペソ廃止・ドルの法定通貨化や、中央銀行の廃止等を主張するミレイ下院議員が大統領選で勝利した。トルコでは、同国中銀が金融政策を引き締めに転換したが、引き締め幅は不十分で、高インフレが続いた。ロシアでは、輸出企業の外貨収入売却義務再導入が発表される(23年10月11日)まで、ウクライナ戦争長期化による財政・経常収支の悪化が嫌気された。