乗客は1日13人…JR西が困り果てる「赤字ローカル線」1ミリも譲らない地元自治体の言い分とは?芸備線の車両。備後西城駅にて Photo by Wataya Miyatake

赤字路線の存続やバスへの転換などを話し合う「再構築協議会」の初会合が3月26日、広島市で開かれた。国はこの協議会にどのような役割を期待しているのか。なぜ、広島県と岡山県を結ぶJR芸備線が再構築協議会の適用第1号となったのか。(乗り物ライター 宮武和多哉)

膨大な「ローカル線の赤字負担」
JR東日本とJR西日本で約900億円!

 JR東日本とJR西日本は、1日の平均乗客数2000人未満の線区の収支を開示している。それぞれの収支を総計すると、JR東日本(開示は34路線62区間、2022年度分)は648億円の赤字、JR西日本(同17路線30区間、20~22年度の3カ年平均)は237億円の赤字である。

 JR東日本とJR西日本の決算(23年3月期)から運輸事業の収益を確認すると、JR東日本が240億円の赤字、JR西日本が244億円の黒字である。こうした状況も含めて、ローカル線の赤字が鉄道事業の採算を左右するといっていい。

 しかし、JR各社が赤字を減らそうにも、鉄道路線の見直しや廃止には地元の反発が付きまとい、協議が長引く間に経営状態が悪化するという悪循環に陥るケースも多い。民間企業として抱えるには重すぎる鉄道各社の負担に手を打つべく、国は「再構築協議会」という枠組みを設置。その第一弾として、広島県と岡山県を走るJR芸備線・備後落合駅~備中神代駅間(68.5km)に関する協議がスタートした。

 3月26日に広島市で開かれた第1回協議会には50社以上の報道陣が集結するなど、各社の関心の高さがうかがえた。国土交通省は、再構築協議会にどのような役割を期待しているのか。そして、芸備線はなぜ再構築協議会の適用第1号となったのか。