JR九州は1月22日から、鹿児島、宮崎、大分県を中心とした券売機未設置駅と新たに券売機を撤去した駅で、「QRコード乗車証明書」を一斉に導入した。JR九州の経営環境をふまえれば、券売機の設置縮小はやむを得ない部分はある。だが、スマホを持っていない人や、操作に不慣れな人を置き去りにする可能性もある。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

QRコード乗車証明書の
導入に乗り出したJR九州

「券売機がない駅では駅提示のQRコードを読取りお降りになる駅で乗車証明書を係員に提示ください」と書かれたJR九州のポスター「券売機がない駅では駅提示のQRコードを読取りお降りになる駅で乗車証明書を係員に提示ください」と書かれたJR九州のポスター 拡大画像表示

 先日、SNSで見かけたJR九州のポスターに驚いた。いわく「券売機が無い駅では駅提示のQRコードを読取りお降りになる駅で乗車証明書を係員に提示ください」というものだ。

 どんな取り組みなのか。JR九州に話を聞くと、肥薩線(栗野~日当山間)、日南線(油津~志布志間)、日豊本線(上岡~北延岡間)など鹿児島、宮崎、大分県を中心とした券売機未設置駅で、1月22日から「QRコード乗車証明書」を一斉に導入したという。SNSで流れてきた画像は、その告知を見て驚いた利用者のものだったようだ。

 取得方法は駅に掲出されたポスターのQRコードを読み込み、ウェブサイトの「乗車証明ボタン」を押すと、発行番号と日時が表示された証明書が表示される。これをスクリーンショットで画像保存し、下車駅で係員に提示して運賃を支払う。

 鉄道各社は現金の補充・回収コストを削減するため自動券売機の撤去や設置台数削減を進めているが、その中でも特に熱心なのがJR九州で、全595駅の6割が無人駅で、3割強が券売機非設置駅だ。

 駅員も券売機もなければどこから乗ったのか分からない。これまでは下車時に「どこそこから来ました」と自己申告して精算していたが、今後は利用者が各自スマホで乗車駅を証明せよというのである。