家入 大学生や社会人、フリーランス、ニートとか、とにかくいろいろ人たちが空いている時間に集まって、いろいろなテーマでモノ作りに取り組んでいるんです。そして、それによって発生した利益は、きちんとそれぞれのメンバーに分配するという仕組みです。

山口 どんなことをやっているんですか?

互いに納得できる人とのみ依存しない関係を築いて<br />新しいことにどんどん挑戦する仕組みをつくる家入一真(いえいり・かずま)
1978年福岡県生まれ。起業家・投資家・クリエーター。高校中退、ひきこもりから、22歳でpeperboy&co.の前身となるマダメ企画を起業。レンタルサーバー「ロリポップ!」のサービスを成功させ、29歳で史上最年少ジャスダック上場を果たした。1年後に社長退任。株売却で得た十数億円は、新事業やプロジェクトに投資し2年で使い果たした。現在は、ものづくり集団Livertyなど複数の企業・事業を束ねている。

家入 最近だと、たとえば「顔面広告」ですね。その名のとおりで、広告塔になってもOKという人の顔面に、クライアントのロゴやサービス名をペイントして、都心を中心に街中を移動するというサービスです。

山口 目立つのは間違いないですよね(笑)。

家入 ふざけるな!と怒られるかと思ったら、意外と評判がいいんですよね。1日1万円の広告料なんですけど、僕のアシスタントの大川君は1カ月で30万円稼ぎました。

山口 「顔面広告」の話を聞いていてつくづく感じたんですけど、家入さんって、発想に縛りがないというか、精神的な自由さのスケールが全然違う。それって、著書にもよく書いておられる過去のコンプレックスの裏返しなのでしょうか?

家入 中2の頃から対人恐怖症みたいになって、高校は1年で中退したのですが、結局、3年間ぐらいはずっと引きこもっていました。その頃は、自分の中のもうひとりの自分に、いつも客観視されている気がしていました。そして、つねに自分と相手との関係を気にしすぎて、ちゃんと空気を読もうと気を遣った挙げ句、自分自身が空気みたいな存在になってしまったりしていましたね。

山口 自分を客観視することに関しては、もうかなりのキャリアになるわけですね(笑)。