家入 もっとも、それから劇的に変化して今の自分があるわけでもないんですよね。今の僕にも不思議なバイオリズムのようなものがあって、ワーッと物事をスゴイ勢いで進められたかと思うと、それから1~2週間は気持ちがドーンと沈んで、ずっと家に籠っていたりするんです。いわゆる躁鬱なんですかね。それでいろいろな人に迷惑をかけているはずなんですよね、そんなときは約束もキャンセルせざるを得ない状態ですし。
山口 それは、かなり重症ですね。人間関係が気まずくなったりしませんか?
家入 次から会ってくれなくなるかもしれませんけど、「今は会いたくない」という気持ちのほうが強いですから、仕方ありません…。結局、僕は自分自身に甘い人間なんです。コンプレックスをすべて受け入れて自分を許してあげると、とっても気持ちがラクになるんですよ。自分を受け入れたうえで、自分をさらけ出すと超無敵って感じです。
本当にリアルなのは、人間関係とコミュニケーション
山口 確かに、コンプレックスもそれを俯瞰してみれば、もはやそれはコンプレックスではなくなってきますね。そのスタンスで、最近はどんなことに取り組んでいるんですか?
家入 実はサイトが大炎上してしまったのですけど、「Liverty」を通じて去年の5月に「studygift」というクラウド・ファンディング型の学費支援プラットフォームを立ち上げたんです。今までの寄付って、出す側は誰の手に渡るのかわかりませんよね。そうじゃなくて、支援する対象者に共感したうえで学費を支援してあげようっていう発想です。目標額以上のお金が集まって、プロジェクト自体は大成功だったんですけどね。
山口 なのに、どうしてサイトが炎上してしまったのですか?
家入 自分にとって、あれはひとつの転機となりましたね。それまでのプロジェクトは勢いで突っ走って、お祭り騒ぎのように楽しみながらやっていました。「顔面広告」なんてその典型例ですし、別に炎上しても平気でした。
「studygift」もその延長線上でやっていて。もちろん、対象者の状況をよく調べていなかった等、僕らのミスがあったことも確かなんですが、炎上後に届いた罵詈雑言が凄まじかったんです。「オレの学生時代のほうが貧乏だった」「物乞いか!」といったメールが殺到したんですよ。わざわざ匿名のアカウントを作って、僕のところに誹謗中傷のメールを送ってくるわけです。当時は朝起きると、僕のツィッターが全部「死ね!」って言葉で埋まっていたりしましたね。