今回の連載では、面接官の視点から就職面接について語りたいと思います。「みんな、面白い体験をしているはずなのに、その話し方はもったいなさ過ぎる」と、面接官をしながら、模擬面接指導をしながら、毎年感じています。納得いく就活だったと一人でも多くの学生に感じていただけるよう、具体的に話していくということはどういうことなのか、お伝えしていきたいと思います。
面白い体験をしているはずなのに、
その話し方では、もったいなさ過ぎる
『面接の達人』など担当していた就活本が多くの学生に支持していただき、数多くの学生の方に会う中で、模擬面接指導をするようになりました。
また、ダイヤモンド社では面接の担当官として10年以上、就活学生の方に会ってきました。
その中で、感じてきたことを今回の連載ではお伝えしたいと思います。
毎年、強く感じていることを一言であらわすなら、
「面白い体験をしているはずなのに、その話し方はもったいなさ過ぎる」
ということです。
面接官の正直な感覚で言うと、
「落とすのではなく、よくわからなかった」
というのが本音です。
朝から夕方まで面接をした後、「では、次の面接にどの学生を残そうか」となった時、失礼ながら「この学生って何の話をしたんだっけ?」と思うことがあります。
その日の午前中に、話を聞いたはずなのに、あまりにも抽象的すぎて夕方には記憶にほとんど残っていないこともあります。
これも正直なお話をすると、わずか十数分で、生涯年収数億円の商品の買い物をしているような状況なのに、面接官のほうも「全然わからなくて困っている」のです。
受験勉強については、あんなにお金と労力をかけているのに、面接の訓練をほとんどしていないというのは、考えてみるととても不思議なことです。
面接の訓練、言い換えるなら「コミュニケーションをとる訓練」は就活だけでなく社会人になってからも役に立ちます。
はじめて営業に行ったとき、「お客さんにいかに扱っている商品が魅力的なのか」を説明する場面は数限りなくあるはず。社会人になっても、面接の訓練をしたことは必ず役に立ちます。
はじめての経験で本当に大変だと思いますが、ここで頑張った学生は社会人になってからいいスタートが切れると信じています。
(ずいぶん前の経験ではありますが、私も面接は得意なほうではありませんでした。だから、読者の気持ちになって就活本を編集できたのではないかと思っています)
模擬面接指導をやってきて感じることは、
「30分の指導を2~3回すると、真摯な学生は、劇的に変わる」
ということです。
(もちろん、模擬面接指導で伝えたことをきちんと復習し、自己紹介や志望動機を改善していかないと進歩はありません)
それでは、面接とは何でしょうか。