なぜ、インドカレー店ではナンが出てくるのか? 皆さん、これについて考えてみたことはありますか? 話題書『「思考」が整う東大ノート。』の著者であり、現役東大生の西岡壱誠さんによると、東大生は世の中のいろんな物事に対して「なぜ?」と考える習慣を持っていて、これが思考力のアップにつながるのだそうです。
本記事では、西岡さんに「なぜ、インドカレー店ではナンが出てくるのか?」について答えていただきました。ぜひ皆さんも「なぜ、ナンなのか」について一度考えてみてください。

東大ノート。Photo: Adobe Stock

なぜインドカレー店は、ナンを提供するの?

 みなさんはインドカレー店に行ったことはありますか?

 インド人やネパール人が経営していて、タンドリーチキンやインドカレー、チーズナンなど様々なメニューがあるお店です。

 そして、そんなインドカレー店に行くと、必ず聞かれる質問が、「ナンはいかが?」ですよね。

 もういいってくらい、お腹いっぱいになるくらいまでナンをすすめられた経験がある人もいるでしょう。

 しかし、よく考えると「カレーにナンをつける」ってちょっと不思議ですよね。どうしてインドカレーはナンなのでしょうか?

 僕らの知っているカレーは、米と一緒に食べていますよね。家庭でナンが出てきた、という人はほとんどいないでしょう。

 でもインドカレー店では、ナンが出てきます。これは一体どうしてなのでしょうか?

「必ずしも正解がない問題」を考えてみよう

 1つの理由は、ナンの原材料です。

 ナンは、小麦粉でできている場合が多いですね。そして、小麦粉は雨があまり降らないような乾燥地帯で作られる場合が多いのですが、インドの国土の中には乾燥地帯があります。

 ナンは、そうしたインドの中の乾燥地域で食べられているものなのです。

 でも、もう1つ考えられる理由があります。それは、日本に合わせてくれているというものです。

 実は面白いことに、インドでもカレーの付け合わせはナンだけではありません。

 乾燥地域もあれば多雨の地域もあり、そうした雨の多い地域では普通に日本と同じように、米と一緒に食べることもあります。

 また、チャパティという料理と一緒に食べる場合もあります。地域によっては、ナンでカレーを食べたことがない、というインド人もいるくらいです。

 それなのに、なぜインドカレー店ではナンが出てくるのか?

 それは、インドの事情の面というよりは、ライス主体の日本に合わせてくれているからなのだと考えられます。

 インドカレー店に行ってライスが出てきたら、「日本のカレーと同じだな」という印象を持ちますよね。

 でも、ナンが出てくると、「お! 外国の料理を食べているな」という印象を持つはずです。

 インドカレー店でナンが出てくるのは、日本人の需要に合わせているからなのではないかとも考えられます。

 いかがでしょうか? 実際に正解があるわけではありません。でも、こうした問いを考えていくと、想像が膨らみ、面白いですよね。

 こうした必ずしも正解がない問題について、考えを巡らせることは思考力を高めるためにとても大事なことです。

 皆さんも身のまわりの様々なものに疑問を持ち、考える習慣をつけてみてください。