4月10日に行われた第22代国会議員選挙(韓国総選挙)では、野党「共に民主党」連合が175議席を獲得し、与党「国民の力」連合の108議席を圧倒した。国会で野党が過半数を占めるねじれ現象が続くことになる。総選挙から1カ月、躍進した左派政党は団結して次期大統領選に備えているのかというと……。(韓国在住ライター 田中美蘭)
韓国総選挙で与党が大敗、野党の大物2人が急接近
4年に一度の韓国総選挙から1カ月が経過した。今後の政権運営の行方と、次期大統領選挙にもつながる重要な選挙だったが、与党「国民の力」は大敗を喫し、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は大きな打撃を受けた。一方、野党「共に民主党」など左派政党が躍進し、議席を大幅に伸ばした。この結果を受け、今後、次期大統領選挙での政権交代を目指して、左派陣営が攻勢を強めていくことが予想される。
総選挙の直後から、尹政権にとって脅威となる2人の急接近が大きな注目を集めている。最大野党「共に民主党」の党首・李在明(イ・ジェミョン)氏と、左派系の新党「祖国革新党」を結成し当選を果たした曹国(チョ・グク)氏である。両氏は会談を行い、尹政権への批判を一層強め、政権交代の実現に向けて協力していくことで合意した。
もし仮に、曹国氏が「共に民主党」に今後合流し、さらには党首や大統領候補にまで名乗りを上げれば、文在寅(ムン・ジェイン)氏が率いた前政権時代の悪夢がよみがえってくる恐れがある。公開された会談の様子は、表面上は和やかな雰囲気だったが、高額な酒が用意されていたことへの非難の声や、「単なる茶番だ」と冷笑・批判する声も少なくない。一方で、曹氏の高い人気を示す事実も無視できない。