「自力整体」とは、整体プロの技法を自分におこなう人気メソッドです。「久しぶりにぐっすり眠れた」「健康的にダイエットできた」「10年間苦しんできた慢性痛から解放された」「脊柱管狭窄症の診断を受けたが、痛みが和らぎ手術を回避できた!」「更年期の不調が消えた」など、多くの声が寄せられています。現在、国内・海外で約1万5000名が実践。鍼灸、整体、ヨガを構成した動きで、痛み、コリ、冷え、疲労、不眠、便秘、不定愁訴を解消します。今回、3分以内で痛みや不調を解決するワークを集めた『すぐできる自力整体』が発売。症状別の「悩み解決ワーク」のほか、じっくりほぐして骨盤調整もできる「4つのコース(動画つき)」を収録。著者の矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語ります。本書より一部を抜粋・編集し、その中身を紹介しましょう。
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
(写真/榊智朗 構成/依田則子)
自力整体で将来の不安を解消するポイントは?
――「自力整体」は将来の足腰の健康不安解消にも役立ちそうです。
矢上真理恵(以下「矢上」):足腰に「違和感があるな」と感じたら、すぐ自分の手で調整できるので、コツさえつかめば一生役立つと思います。
――自分でやるのは面倒だと感じる方もいらっしゃると思いますが、「コレさえやっておけば老後も安心」という自力整体はありますか?
矢上:口を酸っぱくしてお伝えしていますが、骨盤のゆがみや硬さは放置しないように。 足腰の不具合が出やすくなる他にも、歩幅が狭くなってつまずきやすくなるので、歩行困難のリスクも高まります。 自力整体のような、手軽な骨盤調整を習慣にするだけでも、転ばぬ先の杖になると思います。
ポイントは骨盤まわりの大きな筋肉「腸腰筋」です。これは腰椎と大腿骨(股関節からひざまでの骨)をつなぐ唯一の筋肉(※中盤の図参照)。歩行や姿勢に大きく影響するため、日頃から縮んだり硬くならないように、ほぐしておきましょう。
――腸腰筋が縮むと、体にはどんなことがおこりやすいでしょうか?
矢上:わかりやすいのは、股関節の動きが鈍くなります。ちょっとした段差でもつまずいたり、すり足になったり、開脚などもしづらくなります。
また、腸腰筋の縮みで背骨も前側に引っぱられ、姿勢を正しくしようとしてもキープできず、猫背になります。すると呼吸も浅くなり、血流も悪化。いいことは一つもありません。
腸腰筋の縮みを解消して、股関節の動きもしなやかになれば、いつまでも足腰は健康で、背筋もすっきり。さらに、腰痛や坐骨神経痛の解消・予防にも役立ちます。 たまに腸腰筋の縮みや硬さをチェックしてみましょう。
「腸腰筋の硬さ」をセルフチェック!
――腸腰筋の硬さや縮みをチェックする方法を教えてください。
矢上:方法はいくつかありますが、次のチェック法はとてもカンタンです。
Q:ひざ立ちになり、どちらかの脚を前へ出す。両手をひざの上に置き、重心をぐ〜っと前に移動させた時、のばしたほうの鼠径部(そけいぶ)に硬い・痛いなど左右差はありますか?
( )YES ( )NO
YESにチェックした人は、腸腰筋が硬く縮んでいる傾向です
◎「腸腰筋」はココ!(※画像は書籍『すぐできる自力整体』より)
腸腰筋をほぐすと、骨盤のゆがみも解消しやすくなる理由
――腸腰筋の縮みをほぐすことで、骨盤のゆがみ解消に役立つということですね。
矢上:そうですね。その前に、「骨盤のゆがみとは何か」がわかると、自力整体をおこなうのも楽しくなると思います。
おもに「骨盤のゆがみ」とは大きな2つの関節「仙腸関節」「股関節」(上図)のいずれかにズレが生じて、ゆがんだ状態を指します。
ズレを正常に戻すには、この2つの関節の筋肉群で最も重要な「腸腰筋」の縮みをほぐすことがポイントです(※ワークは後半で紹介)。硬くなっている腸腰筋をほぐせば、仙腸関節や股関節は緊張から解放され、ズレが取り除きやすくなるからです。
これらのズレを自力整体で解消し、正常な位置に戻せば、痛みや不調の原因は、ほぼ取り除かれたことになります。この先も、足腰の健康を維持できるというわけです。
――手軽にできる「腸腰筋」ほぐしのワークを教えてください。
矢上:寝る前、布団の上でできる手軽な「腰のユラユラほぐし」のワークを紹介しましょう。股関節や仙腸関節をゆるめて、硬い腸腰筋をほぐします。坐骨神経痛・腰痛も和らげます。
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約15,000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』(ダイヤモンド社)がある。
監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約15,000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗