あなたも億り人に!? 凄腕シニア投資家が教える 株式運用術#15Photo:AntonioSolano/gettyimages

日本株展望や投資の心得などを説いた「伝説のサラリーマン投資家」清原達郎氏のインタビューに続き、本稿では、清原氏が実践してきた小型成長株投資の要諦を凝縮解説する。併せて、同氏の定義する「ネットキャッシュ比率」1以上の割安銘柄を独自に抽出。特集『あなたも億り人に!? 凄腕シニア投資家が教える 株式運用術』(全17回)の#15では、清原式投資を実践する上での端緒となる240銘柄を一覧化する。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

清原流「ネットキャッシュ比率」から
小型成長株投資の候補240銘柄を抽出

「伝説の投資家」清原達郎氏は、1998年にタワー投資顧問の基幹ファンドの運用開始後、四半世紀で93倍という驚異的なパフォーマンスをたたき出してきた(本特集#3『資産800億円!“伝説の投資家”清原達郎氏が見通す、日本株「次のシナリオ」』および#10『最後の「長者番付1位」投資家・清原達郎氏が明かす!注目の経営者、リスクとの向き合い方…』参照)

 その原動力となったのが、運用の中心に据えてきた「割安小型株」への投資だ。「小型株の多くは基本割安に放置されていて、その中で成長株を見つけて投資できれば、爆発的な破壊力になる」(清原氏)からである。

 そこで、まず必要なのが銘柄の「割安さ」の判断。幾つか方法があり、株価をEPS(1株当たり純利益)で割った「PER(株価収益率)」はその代表格だ。

 同氏は株価の割安さを見る中で、最も重視するのがPERだとしつつ、「将来の利益から割り出した適正なPER」だけでは、株式の価値を計測できないと指摘する。会社のバランスシート上の資産や借金を含めた、財務構造をそろえて計算を行う必要があるからだ。

 一方で、PERの次によく使われる、時価総額を純資産で割った「PBR(株価純資産倍率)」についても、清原氏は「実は役に立たない」と指摘する。上場企業で実際に解散する会社などほとんどなく、同氏によれば、一般的に純資産が「解散価値」とされること自体、「大きな間違い」だからだ。

 そこで清原氏が、PBRの問題点を補う指標として活用するのが、「ネットキャッシュ比率」である。会社が赤字でもそうでなくても、同じ値段で売れる資産がどれほどあるか見るべきだからだ。

 ネットキャッシュ比率が1とは、「会社がただで買えるほど割安」ということ。お金を借りて時価でその会社の株を全部買うと、借りたお金は会社にある現金や換金可能な流動資産を売って返済できることを示す。

 清原氏は独自の観点から、ネットキャッシュとネットキャッシュ比率を以下のように定義している。

◆ネットキャッシュ=流動資産+投資有価証券×70%-負債
◆ネットキャッシュ比率=ネットキャッシュ÷時価総額=(流動資産+投資有価証券×70%-負債)÷時価総額

 清原氏のファンド運用時は、「このスクリーニングを数カ月に1回やって割安銘柄の候補を探していた」という。だが、個人投資家が自ら行うのはハードルが高いだろう。そこで編集部では今回、専門家の協力の下、清原流「ネットキャッシュ比率1以上」を満たす中小型240銘柄を炙り出した。次ページでは、そんな一群を明らかにする。