連合第5回集計、5.17%の賃上げ率
だが「バブル崩壊前」の経済復元は疑問
今春闘は、直近の第5回の連合集計(5月8日公表)によれば、平均賃上げ率は5.17%と33年ぶりの高さとなったほか、注目されていた中小企業(300人未満)の賃上げ率も4.66%と高い伸び率になっている。
こうした昨年に続く春闘の好調の下、日本銀行は消費者物価上昇率がこの約2年の間2%を上回ったことも踏まえ、「賃金・物価の好循環が確認された」として、17年ぶりに利上げ、金融政策の正常化に踏み出した。
バブル崩壊後、長期にわたって停滞してきた日本経済がデフレから脱却し、新たな局面に移行する見通しが立ってきたともいえる。それは「バブル崩壊以前」の復元を意味するのだろうか。
賃金や物価の上昇や消費の実態を分析すると、バブル期前の構造とは全く異なる様相になっていることが浮かび上がる。賃金上昇や消費の動きは二極化し、春闘賃上げ率でも大企業と中小では格差はむしろ広がった。懸念されるのは欧米で重い課題になっている格差社会が日本で本格化することだ。