<正解>

 あなたは初回のターンでわざと水鉄砲を外す

 命中率50%のAと、100%のB、どちらを狙うか……。
 考える余地はないように思えますが、他の2人の思考になって冷静に考えてみると、あなたの勝率を高める意外な選択肢が見えてくるはずです。

AかBを撃つと、どうなるのか?

 行動順は、あなたが一番手です。
「Aを狙って撃つ」「Bを狙って撃つ」どちらも可能な状況。

 たとえば、あなたがAを狙って水鉄砲を撃ち、命中したとします。
 Aが脱落したので、次の射撃はBのターンです。
 Bは命中率100%なので、あなたは確実に撃ち抜かれます。
 つまり、最初のターンでAを撃ち落としてはいけないのです。

 一方で、Bを撃ち落とした場合、以後Aとあなたが互いを狙って撃ち合いますが、あなたは命中率30%に対しAの命中率は50%です。
 つまり、負ける可能性は高い。
 しかも撃つ順番は、Aの方が先になります。
 あなたにとっては圧倒的不利。
 できれば避けたい状況です。

2人を操る、意外な選択

 あなたのターンでAかBが脱落したら、あなたは不利になります。
 つまりあなたは、

 初回では誰も撃ち落としてはいけないのです。

 仮にあなたが水鉄砲を外した場合、次はAに射撃のターンが回ります。
 そのときAは「Bを狙おう」と判断します。

 Aにとっては、命中率30%のあなたと、命中率100%のBを比較したとき、命中率の高いBが残っている方がやっかいです。
 そして「全員無事の状態でBにターンが回ったら、Bはより命中率が高い自分の方を確実に狙ってくるはず」とも考えます。
 だからAは、先んじてBを狙って撃つのです。

 もしAがBに命中させたら、あなたとAが残り、あなたの射撃ターンになります。
 一方で、もしAがBに命中させられなかったら、Bは命中率が高いAの方を狙い、100%命中させて倒します。
 そしてあなたとBが残って、あなたの射撃ターンになります。

 つまりあなたは、初回の射撃をわざと外すことで、1対1で、なおかつ自分が先に撃てる状況をつくり出すことができます。
 これが、あなたにとっての最善な戦略です。

「思考」のまとめ

「命中率が誰よりも低いから、狙われる優先順位が低い」。
 不利な状況を逆手に取った発想ですね。

 具体的には、あなたが初回でBを撃ち落としたときの勝率は15%(Aが50%で外し、あなたが30%で当てる)ですが、初回でわざと外したときの勝率は30%(AかBのどちらかが残り、あなたの2回目のターンになる)と、勝つ確率は2倍に跳ね上がります。

 このように多面的に考えることで、「他者を動かすことで自分に有利な状況をつくる方法」に気づけることもあるのです。

 ・他者の視点に立って「先読み」することで、自分に都合よくコトを進めることもできる

(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。)

野村裕之(のむら・ひろゆき)
都内上場企業のWebマーケター。論理的思考問題を紹介する国内有数のブログ「明日は未来だ!」運営者
ブログの最高月間PVは70万超。解説のわかりやすさに定評があり、多くの企業、教育機関、テレビ局などから「ブログの内容を使わせてほしい」と連絡を受ける。29歳までフリーター生活をしていたが、同ブログがきっかけとなり広告代理店に入社。論理的思考問題で培った思考力を駆使してWebマーケティングを展開し、1日のWeb広告収入として当時は前例のなかった粗利1500万円を達成するなど活躍。3年間で個人利益1億円を上げた後、フリーランスとなり、企業のデジタル集客、市場分析、ターゲット設定、広告の制作や運用、セミナー主催など、マーケティング全般を支援する。2023年に現在の会社に入社。Webマーケティングに加えて新規事業開発にも携わりながら、成果を出している。本書が初の著書となる。