手持ちの金が底を尽きかけ、最低賃金の仕事も失ったウクライナ難民のマキシム・レハ(当時22)は、新天地のポーランドで生活費を稼ぐ新しい方法を見つけた。2023年初めのことだ。対話アプリ「テレグラム」で人材を募集していた仕事は、さほど難しくなさそうだった。辺ぴな場所にある柵や道路の高架下にスプレーで落書きをすると、1回7ドル(約1090円)をもらえるというものだった。レハが応募すると、アンジェイと名乗る男から返事が来た。数日のうちにアンジェイは要求を釣り上げ、レハは隣国ウクライナに西側の軍事支援を運ぶ列車の線路沿いにカメラを取り付けていた。数週間後、レハを含む16人が逮捕された。明るみに出たスパイ事件としてはポーランド史上最大規模だった。後に明らかになったのは、22年後半以降、レハのように手っ取り早く稼ぎたい移民をロシアの諜報(ちょうほう)機関が雇ってスパイや情報収集をさせており、アンジェイはその協力者だった。
ロシアがスパイ利用、ポーランド社会からあぶれた移民
「楽に稼ぐ」ため、欧州でロシアの破壊工作に手を貸す若者たち
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