近年、日本には不動産バブルが到来している。加えてマイナス金利の解除も決定し、「家を買おうと思っていたけど、今はタイミングじゃないのでは?」と不安に感じている人も多いのではないだろうか。
そんな住宅購入を不安に感じる人の悩みを解決するために住宅購入の思考法』が発刊された。本記事では、著者の江口亮介氏による住宅購入に関するオリジナルコンテンツを配信する。

持ち家Photo: Adobe Stock

住宅購入の仕組みを知ることが大事

 賃貸か購入は、どの時代でも資産形成において重要なテーマです。私は資産性の高い住宅を購入することが資産形成においていいことだと考えています。

 ただし、誰もが簡単に最適な住宅を購入できるわけではありません。住宅購入のためには、多くの優先順位づけと意思決定が必要です。当社を含む不動産仲介会社も、お客様にできる限り最高の取引を提供したいと願っていますが、どうしてもお客様の思い込みや勘違いなどによって最適な住宅選びができないケースも少なくありません。また、最悪の場合、家がほしいのに住宅購入にたどり着けず、後悔するケースも多々あります。

 後悔してしまうケースに共通しているのは、不動産取引が一般的な商取引とは大きく異なる特殊性を持っていることを理解できていないからです。普段の買い物やECショッピングのような「通常の買い物感覚」で住宅購入を進めると、失敗してしまう可能性が高まります。

 ここで言う失敗とは、「もっといい買い方ができたのに、それができなかった」や「いいやり方に気づいていなかった」などを指しています。

 今回は家選びで後悔してしまう人がやっていることについてお話しします。

「お客様は神様だ」と思っている

 家選びで後悔してしまう人に最も多い勘違いは、「お客様は神様だ」と思っているというものです。不動産取引(特にいま主流の中古取引においては)は、売り手と買い手の力関係はほぼ一定か、もしくは物件によっては売り手のほうが力が強くなっています。ここに不動産売買の特殊性があります。

 私たちは多くの場合、物を買ってほしいメーカーと、それを選ぶ自分、という関係の取引を行っています。そのため、買い手が売り手よりも強い取引のほうが多いわけです。

 しかし。不動産取引はその物件・その部屋1つしかないものに対して、複数の買い手が出てくるということが多々あるため、売り手が買い手を選ぶということが頻繁に起きます。人気のエリア・物件であればあるほど尚更です。