固定化されたキャリアの光と影

 たしかに、「キャリアが分かれている」ことをいい空気と感じる人たちの意見もわかります。王道ルートにさえ乗ってしまえば、自分が成功する確率は上がるわけですし、社内でも一目置かれる存在となります。

 ただ、入社時点でルートが決められると同質の人財同士だけで安心できる組織をつくり、その組織に安住しようとする傾向も強くなります。いわゆる「仲良しグループ」です。

 仲良しグループでは、第一優先事項は自分たちで好きなようにできることですので、それを失いかねないあらゆる変化を嫌うようになります。

 また、自分たちと違う考えを持つ人間も排除するようになり、自ら変化を遠ざける状態になっていくのです。

同質のグループ

 一時期の味の素も、このようにして、日本の伝統企業にありがちな仲良しグループになり、変化を恐れ、成長の活力を自ら失っていたのでした。これはかつての味の素で起こったことですが、多くの企業や組織でも同じ問題を抱えているように思います。