圧倒的に面白い」「共感と刺激の連続」「仕組み化がすごい」と話題の『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』の著者・森武司氏は、2005年の創業以来、18年連続増収増益を達成し、年商146億円となった。ここまで会社を成長させてきた秘密は何か? 本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回インタビューするのは、FIDIA役員の橋本雄一氏。
橋本氏はCRO(チーフ・リレーションシップ・オフィサー)というFIDIA独自の役職で、年間800人以上に会う“人脈づくりのプロ”として事業拡大に大きく貢献した。
今回は“一流の流儀”をテーマにし、橋本氏の体験をもとに、怒りを感謝に変える一流の流儀について話を聞いた。

【人脈づくりのプロが教える】怒りを感謝に変える「一流の流儀」とは?Photo: Adobe Stock

居酒屋で遭遇した成金からの衝撃的な一言

――年間800人以上と会う「人脈づくりのプロ」の橋本さんですが、多くの出会いの中で「さすがにこれは腹が立った」というエピソードはありますか。

橋本雄一(以下、橋本):怒りの感情から「感謝」に変わったことならあります。とあるコミュニティの会食が終わった後、一人でごはんでも食べようかと入った居酒屋でのエピソードです。

店内のテーブルがL字カウンターになっていて、僕の席からちょうど縦の線のところに、中年男性ときれいな女性が座っていました。
僕が席に着くなり、その中年男性は「大将、今日はシャンパン入れるから、30万使っちゃうよ~」と、かなりでかい声で言いました。

まさに隣にいる女性に見せつけるような言い方でしたが、僕は「ええ! 30万ですか、すごいですね!」と、その場でつい言ってしまったんです。
すると気をよくした男性は、お金にまつわるエピソードをどんどん話しながら、僕にもお酒をごちそうしてくれました。

僕はそのとき一人だったので、話の内容は何にせよ、今日はこれでよしとしようと思っていたのです。

――プライベートでも、橋本さんは人とコミュニケーションを取るのが好きなんですね。

橋本:これで終わりであれば楽しいだけの話なんですが、実は続きがあるんです。
僕は完全に聞き役に回っていたので、自分がどんな仕事をしているかまでは話していませんでした。すると、お酒が回ってきた男性が次第に高圧的になってきました。
「おまえもしっかり仕事を頑張らなきゃダメだろう」「女くらい連れてこれるようになれよ」と冗談ではなく、本当に怒り始めたのです。

はじめは楽しかったのですが、僕もイライラしてきて会計をしていると、「逃げるのか!」と怒鳴られつつ、足早にその店をあとにしました。

店から一歩出た瞬間、「あんなことを言われる筋合いはない」と心底腹が立ちましたね。

考え方次第で「地獄」が「天国」となる

――楽しく交わしていたはずの会話が、相手の一言で一気に怒りに変わったんですね。そんな場面に遭遇したら、イライラが尾を引きそうです。

橋本:ホテルに帰った後も、なんだか怒りが収まりませんでした。翌朝、気分転換にサウナに行ったんです。そこでリフレッシュすると、「そういえば、昨日の自分はずいぶん怒っていたなあ。まあ、今になればどうでもいいか」と思い始めました。

そして「お金や名誉で『すごい』と言われるより、自分のスタンスを理解してくれる人がいるほうが嬉しい」と改めて感じました。
世の中、嫌な人がいっぱいいてくれたほうが、一生懸命やっている自分がもっと引き立つといった感覚ですね。
だから世の中、考え方次第で地獄が天国になる。腹が立てば立つほど、それを感謝に変えられるなんて最強だと思いませんか。

――怒りを感謝に変える。考え方の転換の仕方は、橋本さんならではですね。

橋本:いろいろな人との出会いによって、その人の価値観や幸せのあり方が僕の考え方のように結びつくんです。
今回のエピソードから得た僕の考えは、きっと、誰かから得た影響がミックスされて僕のオリジナルに行き着いているのかもしれませんね。これからもたくさん面白い出会いを大切にしていこうと思います。