圧倒的に面白い」「共感と刺激の連続」「仕組み化がすごい」と話題の『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』の著者・森武司氏は、2005年の創業以来、18年連続増収増益を達成し、年商146億円となった。ここまで会社を成長させてきた秘密は何か? 本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回インタビューするのは、FIDIA役員の橋本雄一氏。
橋本氏はCRO(チーフ・リレーションシップ・オフィサー)というFIDIA独自の役職で、年間800人以上に会う“人脈づくりのプロ”として事業拡大に大きく貢献した。
今回は“一流の流儀”をテーマにし、橋本氏が出会ってきた著名人の「一流」を感じたエピソードについて話を聞いた。

トップアスリートが「感謝」を大切にする本当の理由Photo: Adobe Stock

トップアスリートが見せた合宿での一場面

――橋本さんはいろいろな人との交流がありそうですが、一流の人たちとのおつき合いもありますか?

橋本雄一(以下、橋本):はい、誰もが知る元日本代表・坪井慶介さんです。
僕自身、サッカーゲームでは坪井さんをよく使わせてもらうほど坪井さんが大好きでした。そんな憧れの人とふとした縁でお話しさせていただくようになりました。

――テレビ越しで見ていた憧れの人とご縁ができるなんて、夢のようですよね。

橋本:とある機会をいただいて、サッカーの一泊二日の合宿に一緒に参加させてもらったことがあるんです。
そのとき、坪井さんの「ある行動」に僕は驚きました。
合宿2日目の朝、みんなで集まって食堂でごはんを食べていたときのこと。
よくあるセルフサービス形式で、坪井さんがごはんを受け取って食べているのを遠目から見えたんです。
坪井さんがごはんを食べ終えると、調理している職員のところまで行って手を合わせて「ごちそうさまでした」と言ったんです。
ハードスケジュールで時間に余裕もない中での出来事でした。
アジアカップ優勝、浦和レッズ日本一、そして日本代表も長い間していた一流のサッカー選手が、調理員さんの目の前まで行き、丁寧に手を合わせてお礼をしていた。
よく「心技体」と言いますが、この人こそ本当の「心技体」なんだと思いました。
そんな謙虚な姿勢もあるからこそ、日本代表にも選ばれ続けたんだと、改めて納得しました。

――坪井さんのその姿を見て、橋本さんから何か声をかけられたんですか。

橋本:食事後に坪井さんを探し、「実は遠目で見てたんです。わざわざ『ごちそうさまです』と言いに行かれていましたよね」と、声をかけました。
すると、坪井さんは「それは常に心がけている」と言っていました。
そして、続けてこう教えてくれたんです。
「僕は今、元サッカー選手として夢を担っていく子どもたちを育てる立場なので、その僕がやらないわけにはいかないでしょう」と。

一流は感謝を伝えるだけでなく「後世に残す」

橋本:坪井さんは人としてしっかりされているだけでなく、ご自身として感謝の気持ちを率直に伝えていることがまずカッコいいと思います。
それに加え、“一流の流儀”を感じたのは、自分の行動を「次の世代に残したい」というところでした。

――後世に残すとは、どんな意味ですか。

橋本:「お金を残すのはとても難しい」という言葉があります。さらに難しいのは「組織を残すこと」。そして最も難しいけれど尊いのは「人を残すこと」だという言葉が、以前どこかで耳にしてからずっと頭の中にあるんです。
“人を残す”というと「子孫」が思い浮かびますが、これは遺伝子云々ではなく、人にカルチャーや考え方を伝えること。

坪井さんは常に感謝を伝える気持ちや行動を、未来を担う子どもたちに残そうとしている。
こういった気遣いや気持ちを持っている人こそ人格者ですよね。まさに“一流”の行動だと感じました。