年末までに1ドル150円割れも上振れリスク大?円安ドル高圧力が続きそうな「3つの根拠」Photo:LeoWolfert/gettyimages

為替市場でドル/円相場は、一時160円台に乗せた後、為替介入が伝わると152円を割り込むなど乱高下している。では、今後はどのような方向性をたどるのか。当面はドル高圧力が続きそうと考える「三つの根拠」について、バークレイズ証券の門田真一郎為替債券調査部長の分析を明らかにする。

日米金融政策の先行きは
ドル円の切り下がりを示唆するが…

 ドル/円相場は、4月の日本銀行の金融政策決定会合後、ハト派的な植田和男総裁の記者会見を受けて騰勢を強め、160円台に乗せる場面もあった。だが、その後は同月29日、5月2日に相次ぎ為替介入が実施されたと一部で報じられるなか、152円を割り込む展開となった。

 今後の当面の焦点は、日米金融政策の方向性である。日銀の利上げ、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げはドル円相場の下押し圧力を示唆するものの、米国一強状態や日本の資金流出構造は中長期的な下支え圧力を示唆している。

 ドル/円相場の主なけん引役は引き続き、日米の金利差、すなわちFRBと日銀の金融政策の違いと言えるだろう。バークレイズは今年9月のFRB利下げ開始と、7月の日銀追加利上げを予想している。

 それぞれのOIS(翌日物金利スワップ)市場(5月15日時点)は、FRBの9月頃までの利下げ開始と、日銀の秋頃の追加利上げを織り込んでおり、当社はこの見立てよりやや早めの政策変更を予想している格好だ。

 こうした日米金融政策の見通しは、ドル安(円高)圧力が年後半にかけて、徐々に強まっていく可能性を示唆している。バークレイズはドル/円相場が当面底堅い推移を続けた後、年末までには、日米金利差縮小を背景に150円を割り込むと予想しているが、上振れリスクが大きい状況が続こう。

 以降では、今後も当面ドル高圧力が続きそうな「三つの根拠」について、定量・定性の両側面から、深掘りの分析を行っていく。