円相場、160円台から一転6円近い円高
「覆面介入」?だが米国はけん制
ドル円相場は、日本銀行が4月の金融政策決定会合で「緩和維持」を決めたことを受けて、4月26日のニューヨーク市場で一時、1ドル158円まで円安が進んだ。だが29日には一時160円台まで円が下落した後、一転、154円台と6円近く円高が進むなど荒れた展開になった。
政府・日銀による実施を公表しない「覆面介入」が疑われる状況だ。鈴木俊一財務相はこれまでも過度な相場変動に対して為替介入を辞さないことを強調してきた。
ただこうした日本側の「円安阻止」の動きが強まるのかどうかははっきりしない。イエレン米財務長官が直近のインタビューで、円買い介入をけん制するかのような発言をしており、日本側の「円安阻止」は、追加利上げなど、日銀に依存する構図が強まる。
だが金融政策決定会合後の記者会見での植田和男総裁の発言は、安定的、持続的な2%物価目標実現の確度は高まっているとしながら、「円安による物価上昇基調に及ぼしている影響は少ない」と、政府側の発言とは距離を置いたものだった。
為替介入を巡る日米の「同床異夢」に加えて、政府・日銀の円安阻止での連携も、必ずしも一体感があるとはいえない状況だ。
1ドル160円を超えて円安が進むリスクは依然として残る。