ドル円相場「2024年度末140円台前半」がメインシナリオ、金利差以外の寄与要因の影響は?Photo:PIXTA

34年ぶり円安、円需給要因のウエート高まる
貿易黒字消滅やデジタル赤字、対外直接投資増加

 4月29日には一時1ドル=160円台に乗せ、34年ぶりの円安水準を更新したドル円相場は、2度の円買い為替介入で一時は円高方向に幾分戻したものの、その後は再びじりじりと円安が進む。

 米国の長期金利は、インフレが下げ渋る中で足元4%台半ば程度で推移する一方、 日本の長期金利(10年物国債金利)は、日本銀行の緩和スタンスが継続されて、5月22日には一時、11年ぶりに1%をつけたが、それでも上昇幅は限定的だ。こうした日米金利差拡大やこの状況の下での投機筋の円売りポジションの増加(円キャリー取引が活発化するとの思惑が円の先安観につながる状況)などが円安の背景にある。

 ただし中期的にみると、ドル円相場は2010年代から日米金利差で説明される以上に円安が進行している。

 とりわけ21年以降の円安進展は、貿易赤字や「デジタル赤字」、対外直接投資の増加による円の需給要因のウエートが増していることに注意が必要だ。

 今後、7~9月期以降、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げなどによる日米金利差縮小や輸出の回復などで円ドル相場は円高に向かうが、円高進展のペースは緩やかだろう。